旧ひやま南農協問題、「農業振興」名目で返還へ

update 2004/10/22 11:31

 【乙部】乙部町の寺島光一郎町長と三上岩雄町議会議長は21日、旧ひやま南農協の不適正経理問題で、新函館農協(函館市、坂本繁組合長)が提示した解決案を受け入れ、合意書を締結した。旧乙部町農協役員が負担している未売却用地の処理を新函館農協が引き継ぐほか、特別管理債権の回収余剰金2千数百万円を農業振興の経費負担の名目で返還するとしている。

 坂本組合長ら農協幹部6人が町役場で寺島町長らと会談し、不適正経理を認め、真相究明と関係者の処分を行う考えを示した。

 乙部、上ノ国など5農協の統合で1999年に発足した、旧ひやま南農協(2002年に新函館農協に再合併)は、旧乙部町農協の土地売却益など7888万円を、臨時収益や店舗雑収入などを装い仮受金に分散、計上。合併後に収益として処理したとされる。町は「収益は旧乙部町農協役員が負担した債務解消に充るべき」として、地元返還を要求していた。

 この問題の解決策として新函館農協は、旧乙部町農協が実施した農地保有合理化促進特別事業で、現在も売却先が決まっていない土地(実勢価格約8000万円)の処理を引き継ぎ、旧乙部町農協役員の負担を軽減する。

 また、旧乙部町農協の特別管理債権(第3・4分類)回収に伴う余剰金が2千数百万円あることが判明したため、同農協が「農業振興の経費負担」の名目で、地元に返還することでも合意した。

 同債権の回収可能額は当初、3千数百万円と見込まれていた。だが、町の調査で99年度から5年間で5千数百万円を回収実績があることが分かった。町は合併支援の名目で1億3000万円の補助金を交付したことから、旧ひやま南農協は、余剰金を地元の農業振興資金とする方針を示したが、一連の問題発覚まで資金の管理状態は説明されず、未精算の状態にあった。

 合意書では、一連の問題への責任を明確にするため、旧乙部町農協役員が負った債務の一部、1000万円程度を旧ひやま南農協役員が負担することも盛り込まれた。

 新函館農協は9月24日にも同様の解決案を町に提示、合意した。だが、北農中央会(札幌市)が「返還の必要はない」「合意の事実は無い」と強硬姿勢を示し、一方的に白紙撤回された。坂本組合長は1カ月に及ぶ混乱について、北農中央会の指示を事実上認めた上で、遺憾の意を示した。

 同日の臨時町議会では、この問題を扱う調査特別委員会の設置を全会一致で可決。川上憲満議員を委員長、松岡功議員を副委員長に選出した。臨時会で寺島町長は「農協側の説明は町民の常識が通じる状態になく(問題そのものは)依然として厳しい状態にある」と述べた。

提供 - 函館新聞社



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