道南の漁業離れ一段と進む

update 2004/10/10 14:52

 道南の漁業離れに歯止めがかかっていない実態が、農水省道統計・情報事務所と道が実施した調査で明らかになった。道南の漁業就業者は初めて1万人を切り、40年前の3分1までに減少。最近5年間では高齢化も進み、65歳以上が3割を占めるなど、今後、さらに厳しい経営環境となることが予想される。

 調査は5年ごとに全国一斉で実施している漁業センサス(実態調査)。今回は昨年11月1日時点でまとめた。

 海上での漁業に年間30日以上従事した海面漁業就業者は9331人で、前回の1万0870人から14%も減少した。記録が残っている1963年調査時の2万6693人と比べると3分の1になった。支庁別では、渡島管内は40年前と比べ61・2%減の8223人、檜山管内が同79・8%減の1108人だった。

 65歳以上の漁業者が占める割合は29・8%で、前回より5・1ポイント上昇。全国平均より下回るものの、全道平均の26・8%を上回っている。一方、15―29歳は0・8ポイント減っており、漁業就業者の高齢化が確実に進んでいる。

 個人で漁業を営む5102の個人経営体のうち、「後継者がいる」と答えた経営体の割合は22・1%で、全道平均を0・5ポイント下回った。特に、檜山管内では、その割合は10・6%と、道内の沿海12支庁管内で2番目に低かった。

 道南は森林面積が81%を占めるが、日本海、太平洋に接し、漁場にも恵まれ、スルメイカやスケトウダラなどの漁獲で名をはせる。しかし、全体の漁業生産額は減少傾向にあり、2001年では564億円と、1994年より48億円減っており、渡島・檜山両支庁は「高齢化と魚家収入低下が漁業離れの主因」とみている。(金澤 匠)

提供 - 函館新聞社



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