工業技術センター・フジワラ共同開発の釣り用重り、グッドデザイン賞受賞
update 2004/10/3 17:27
道立工業技術センター研究開発部機械電子技術科の吉野博之科長が設計し、重りメーカーのフジワラ(上磯町追分3、藤原鉄弥社長)などが共同開発した、鉄製の船釣り用重り「ワンダー」が、2004年度のグッドデザイン賞を受賞した。鉛害が問題視されている鉛を使わず、流体工学に基づいて沈下速度を速めるなど、鉛製をしのぐ性能を実現したことが評価された。鉛製の重りに取って代わる存在として、同社は世界を相手に売り込む計画だ。
同賞は、日本産業デザイン振興会が主催する総合的デザイン評価・推奨制度。受賞シンボルの「Gマーク」は、広く一般に定着している。本年度は1263件、603社が選ばれた。
釣り用の重りは、目的のポイントまで達する沈下速度が釣果に影響するため、比重が重く、沈下の速い鉛が一般的に使用されている。
今回の開発は、環境への配慮から鉛を使わない重りへのニーズがあり、中小企業総合事業団(現中小企業基盤整備機構)から要請を受けた産官学が、03年から開発を進め、04年春に完成した。
吉野科長は、軽さを補うために3次元コンピューター利用設計システム(CAD)を使い、より早く沈むよう設計。札幌市の渡辺鋳工所の協力を得て、約30種類の試作品を作り、海中投下実験などを実施。釣り鐘型の形にすることで、抵抗を軽減させた。重心を下部に置き、上部に鉄の強度を生かした4枚の薄い羽を付け、沈降時に抵抗が少ない直下姿勢を保つよう工夫。実験では、300号(1125グラム)で鉛製より10秒以上も速い沈下速度を実現した。
来春以降、製品として本格的に販売する。重さは、40号(150グラム)から600号(2250グラム)までの17種類。色は通常の“鉄色”のほか、海中で光り集魚効果を発揮する、ピンクや緑、黄色などカラフルな蛍光色などを予定。価格は大きさによるが、サケ釣りなどに使われる300号で、700―1600円。鉛製に比べ5割高だが、同社は「コスト削減で1割高まで抑えたい」という。
今後は、イカ釣り機械メーカーの東和電機製作所(函館市)などとともに、ワンダーを使った高性能のイカ釣り機械を製作する。藤原社長は「鉛が問題視されている今、国内だけではなく、世界に受け入れられる可能性は十分ある」と自信を持つ。
提供 - 函館新聞社
ご注意:
●掲載している各種情報は、著作権者の権利を侵さないよう配慮の上掲載されるか、又は、各情報提供元の承諾の元に掲載されています。情報の閲覧及び利用については「免責事項」をよくお読み頂いた上で、承諾の上行って下さい。
●掲載中の情報の中には現在有効ではない情報が含まれる場合があります。内容についてはよくご確認下さい。