秋季高校野球全道大会に向け練習に燃える函商、知内

update 2004/10/1 10:11

 第57回秋季北海道高校野球大会が10月4日から、札幌の円山・麻生両球場で開幕する。函館支部からは函商、知内が代表校として出場、全道各地の代表校と激突する。来春のセンバツ甲子園出場校の判断材料となる大舞台ながら、各校とも歩き始めたばかりの1、2年生の新チームで臨むため、優勝争いは混とん。地元各校もチャンスを生かして上位進出をと、順調に追い込みの練習を続けている。

 函商は30年ぶりに秋の全道の土を踏む。長い伝統のある学校だけに、地元、野球部のみならず卒業生の期待も高く、放課後練習に激励に訪れるOBの姿も。だが、選手には緊張の様子は見られず、気負いすぎず、しっかり最終調整に汗を流している。

 「支部予選での試合経験と代表権獲得が選手を変えた」と佐藤典之監督。最も大きい“変化”は自信だ。支部代表として練習に臨む態度はもちろん、ノックや球回しなどの守備の基本練習でも、動きに安定感と落ち着きが生まれ、結果的に練習段階ながらミスが確実に減った。

 支部予選4試合を1人で投げ抜き、抜群の制球力を見せたエース松田恵輔(2年)は、支部予選後1週間ほど完全休養を取った。大会を直前に控えた現在も、軽めのピッチング練習などでじっくりと仕上げている。チームの大黒柱は全道のマウンドに立つ時を静かに待っている。

 松田を中心に守りでリズムをつくり、得たチャンスは犠打など着実な攻撃で得点に結びつける―。目指す野球は支部大会と同じだ。バント練習は走者を置いた場面を設けて行うなど、試合の緊張感を保ちながら、より精度を高める努力を続けている。

 前回・2000年夏の南大会では鵡川(胆振)と対戦。初回に失策から先制を許し、敗れた。今大会も両校とも出場しており勝ち進めば準決勝で対戦する。石島俊輔主将(2年)は「まずは麻生球場での1回戦を突破して円山球場に行き、鵡川に勝ちたい」と気合を高める。

 まとまりの良さ、ピンチでも気落ちしない明るさは、支部大会での接戦でも光った。勝ち上がることで絆(きずな)を深め、さらに自信と強さを身につけた函商ナインは、舞台を全道に移してもたくましく戦い、初戦突破を目指す。

 一方、知内は夏からの選手が多く残り、支部予選ではチームの完成度の高さが光った。全道大会でも上位進出の可能性は十分。支部予選でも発揮した攻守ともにスキ、そつがない野球をさらに徹底しようと、場面ごとのプレーなど実戦的な練習を中心に、間近に迫った全道大会に備える。

 「いかにいつもの野球ができるか」。山本鉄弥監督はあくまでも普段通りのプレーの必要性を強調。練習の様子も追加メニューを黙々とこなすというより、「再確認」の要素に重きを置いた内容。中でも重視するのが「判断力」。走塁や走者がいる場合の守備など、場面ごとの選手の動きに、山本監督から細かい指示が出され、選手も声をかけながらのチェックに余念がない。

 「点の奪い合いになれば厳しい。接戦に持ち込みたい」(山本監督)。少ないチャンスを確実に生かして得点し、きん差でも最後にはきっちり勝つ―。1得点、1失点を左右することになる「判断力」を磨く練習の狙いは、チームの戦術に基づいているものだ。

 カギを握るのが、6番打者で遊撃手の沖津優也主将(2年)だ。支部予選では無失策、打ってはバント、タイムリーと臨機応変なバッティングをこなし、きっちり役割を果たした。チームのまとめ役でもある沖津主将は「全道でも自分含めて1人ひとりがきっちり仕事をして、そつなく塁を奪いたい」と力を込める。

 大勝、延長サヨナラ、逆転勝利―。支部大会ではいろいろな「勝ち」を経験し、勝負強さを高めてきた。全道相手でも、時間をかけてコツコツ培ったち密でそつがない野球で、最後には必ず「勝ち」を手に入れよう。知内の選手の気持ちは日増しに高まりを見せている。

提供 - 函館新聞社



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