江差追分全国大会、熟年大会念願の優勝の成田さん「歌声を亡き妻に」

update 2004/9/21 10:14

 【江差】19日に閉幕した第42回江差追分全国大会(江差追分会など主催)。65歳から82歳までの118人が出場した第8回江差追分熟年全国大会で念願の優勝を果たした、札幌市厚別区の成田誠さん(66)は、亡き妻への思いが去来する中、万感の思いを込めて追分を歌い上げた。

 会社勤めを始めたばかりの19歳の時、長期出張で9カ月間、江差に滞在したことが縁で追分を始めた。「何て素晴らしい歌があるんだ」と直感した。修業を重ね、1972年の第10回大会で5位入賞を果たす実力を付けた。だが、仕事の都合から、その後は追分の世界から離れていた。

 3年前に妻・陽子さんが亡くなった。在りし日の陽子さんは「また追分が歌えたらいいね」と繰り返し話していた。「もう少し早く追分を始めていれば…」との思いが募った。陽子さんの“遺言”を胸に、再び追分に挑み、昨年の第7回熟年大会では2位に輝いた。

 ずっしりとした優勝旗を握りしめた成田さんは「今日の追分を聴かせてあげたかった。歌声はきっと妻にも届いたはず。家に帰ったら早速、優勝を報告したいと思います」と話し、亡き妻の面影に思いをめぐらせていた。

 現在は、道厚生年金受給者協会厚別支部で副支部長を務める成田さん。「お世話になった人たちへのご恩返しをするつもりで、これからも歌い続けたい」と意欲をみせる。

提供 - 函館新聞社



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