台風による農作物被害深刻

update 2004/9/15 10:06

 台風18号の通過から14日で1週間が経過し、渡島管内では塩害による農作物被害が深刻さを増している。渡島支庁がまとめた14日午後5時現在の管内の農業被害は21億9974万円。中でも七飯町のエンドウマメやダイコンなどは壊滅的な打撃を受けており、品質の低下から市場で値崩れを起こし始めている。また、函館市内のカエデなどの樹木が強制脱水現象で変色、落葉し、秋の紅葉が望めないことも分かるなど、時間の経過とともに被害は拡大している。

 七飯町の被害は、特産のリンゴの落下にとどまらない。町によると、ダイコン、ナガネギ、ニンジンなど野菜の被害額は14日時点で53・59ヘクタール、2億1660万円に上り、リンゴを含む果樹(81・4ヘクタール、1億6000万円)を大きく上回る。

 町内大川で農業を営む男性(71)は、トマトをはじめ、エンドウマメやトウモロコシなどで塩害を受けた。エンドウマメは葉が黒くなり、実も黄色に変色。トウモロコシも実入りが芳しくなく、トマトもひび割れしたものが多い。現在は台風被害の後始末に追われながら、難を逃れた作物を直売所で販売。「今年は天候が良かったので味はいいが、市場にはとても出せない」と嘆く。

 このほか、施設関係の被害ではハウスの全壊、半壊が427カ所、3470万円。カーネーションなどの花きも4・45ヘクタール、7340万円。リンゴの木の倒木も110本、550万円に上った。

 上磯町では、今月から選別出荷が始まったキュウリが、現時点で6000万円の被害。出荷期を2カ月残しての台風被害だった。今年は例年に比べ市場価格も上がっており、被害額が2倍に上る可能性もあるという。

 このほか、花きで5200万円、軟白ネギで4000万円、トマトが2000万円。ダイコンなどの根菜類は、塩分で葉がしおれて今後の生育が見込めず、栽培を断念せざるを得ないケースが多い。

 現地調査にあたった町産業経済課の永田裕課長は「今年は天候も良く、農業関係者にとって期待の年。農家の心の傷も予想以上に大きい」と、肩を落としている。

 各地での被害は、市場にも影響を及ぼし始めている。函館市内の卸売業者「丸果函館合同青果」によると、現在市場に出回る作物は多くが上磯、七飯、大野産で「品質低下が著しく、価格が下がっている」と話す。中には、例年1キロあたり卸値350―400円のエンドウマメが、最近は同50―100円に下落するなど極端なケースもみられるという。

 今後については「今月末あたりから値上がりするのでは。12月の正月商品は相当高くなるはず」と分析。塩害についても「一度潮風にあたると、リンゴやミカンの木は回復までに2、3年かかる。全く先が見えない」としている。

 また、渡島中部地区農業改良普及センター(大野町)は、田畑の塩害に関し「今回は気流に乗って作物に付着した程度。海水が流入した場合と違い、次年度以降に影響する心配はない」とみている。

提供 - 函館新聞社



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