台風被害、強制脱水で紅葉見込めず

update 2004/9/15 10:06

 台風18号は、植物にも多大な影響を及ぼした。函館市見晴町の名勝・旧岩船氏庭園(香雪園)では、「強制脱水」現象によるカエデの被害が深刻で、この秋の美しい紅葉は見込めないという。

 函館市桔梗町の樹木医・斎藤晶さんによると、強制脱水は、台風などで樹木に強風が当たり葉の水分が急激に奪われ、葉の緑色の色素が抜け、乾燥して落葉するという現象。葉と葉が激しくこすれ合うことで蒸散が加速するケースもあるという。

 同庭園に植えられているカエデは約600本。多くの木で葉は枝についているものの、ほとんどがカラカラに乾いて丸まっている。特に紅葉の見どころの1つ、園内南西側を通る「モミジの街道」は壊滅的な状態だ。

 同公園の管理事務所によると「カエデは葉が薄く潮風に弱いとされている。今回の台風で多くのカエデが被害に遭っており、ことしの秋は例年のような紅葉にはならない」という。ただ、「カエデの木自体は強健なので、来年への継続的な被害はないのでは」としている。

 五稜郭公園と市芸術ホールの間を抜ける「ときわ通」のイチョウも被害に遭い、秋の黄葉を楽しむのは難しいとみられる。

 一方、国の特別史跡・五稜郭公園ではサクラ(ソメイヨシノ)やツツジなどが被害に遭った。約1600本あるサクラの3分の2が、強制脱水で葉が赤茶に変色したが、斎藤さんは「花芽はすでに顔を出しているので来年の開花には、さほど影響はないと考えられる」と話している。

提供 - 函館新聞社



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