台風18号/桧山高波被害、沿岸部の南西風に対する弱さを露呈

update 2004/9/14 10:12

 【大成、熊石】8日の台風18号に伴う高波で大きな被害を受けた檜山管内沿岸は、南西に面した漁港や海岸線の建物に被害が集中していることが分かった。南西からの記録的な暴風とともに、冬季の北西からの季節風に備えた、漁港や建物の構造も意外な弱点として浮かび上がった。

 江差測候所(紺谷俊次所長)によると、台風が沿岸を通過した8日午前8時―正午の風向は、南南西から南西。「大成や熊石沿岸では、南西の風が直角方向から吹いた。海のうねりも大きく高波が発達しやすい状況だった」とみている。

 高波被害は大成町花歌、久遠、上浦、太田の約10キロ、熊石町鳴神、西浜の約5キロの海岸線に集中。いずれも海岸線が南西に開いた地形だった。消波ブロックや岩石が流入した、乙部町の元和台海浜公園、開陽丸が浸水した江差町の江差港マリーナも南方向に面している。

 大成・熊石両町では、主に海抜10メートル未満の漁港や住宅地が浸水したり、高波の直撃で建物が破壊されるなど、津波災害を思わせる被害を生じた。大成町の久遠漁港では、3000トンもの防波堤が倒壊、高波の威力を見せ付けた。北海道南西沖地震で整備された防潮堤を波が越え、国道や民家が冠水した地域もある。

 防波堤を越えた、横殴りの波しぶきも破壊力を見せた。久遠港では、防波堤に隣接する水産加工場の外壁が損傷。波しぶきには砂や直径数aの小石も混じり、窓ガラスを突き破るなど、被害拡大の一因になった。

 一方、管内沿岸での暴風・波浪対策は、冬季の「たば風」と呼ばれる、北西からの季節風が中心。建物のほか、冬季の出漁を考慮した漁港施設も、暴風や波浪の影響が少ない、南西側に船の出入り口を設けている。

 今回の台風18号では、そこから高波が入り込み、市街地にもあふれ出すなど「冬の暴風波浪対策が進む一方で盲点を突かれる格好になった」(檜山支庁)。沿岸地域では今後、高波や津波など風水害に対する防災対策を再点検する必要がありそうだ。

提供 - 函館新聞社



前のページにもどる   ニュースをもっと読む



ご注意:
●掲載している各種情報は、著作権者の権利を侵さないよう配慮の上掲載されるか、又は、各情報提供元の承諾の元に掲載されています。情報の閲覧及び利用については「免責事項」をよくお読み頂いた上で、承諾の上行って下さい。
●掲載中の情報の中には現在有効ではない情報が含まれる場合があります。内容についてはよくご確認下さい。

ページ先頭へ

e-HAKODATE .com
e-HAKODATEは、函館市道南の地域情報や函館地図、旅行観光情報、検索エンジンなど、函館道南のための地域ポータルサイトです