国の重文「志海苔出土銭」保存修理のため搬出

update 2004/9/10 11:43

 国の重要文化財「志海苔(しのり)中世遺構出土銭」の一部が8日、保存修理を行うため、展示されている函館市立博物館(青柳町17)から運び出された。国の補助を受けて本年度から5カ年で行われる事業で、最終的には出土銭約37万枚とかめ3個が整備される。

 搬出されたのは「2号がめ」と呼ばれる越前焼の大口かめ1個と出土銭の一部6万6000枚。

 2号がめは、14世紀後半に作られたとみられ、口径63センチ、胴径85センチ、高さ(器高)85センチ。銭は、紀元前175年ごろの前漢時代に鋳造されたと推定される「四銖半両(よんしゅはんりょう)」7枚、唐時代(621年ごろ)の「開元通宝」約3万枚など。

 作業は台風18号の影響で停電の中、行われた。搬送業者4人は懐中電灯の明かりを頼りに、同館1階の展示コーナーから慎重に取り出した。エアパッキングやスポンジを周囲に当て、さらしでぐるぐる巻きにして固定。特製の木枠に収めて完了した。

 東京の専門業者に運び込まれ、文部科学省の指示を受けながら保存修理が行われる。かめは一度解体後、特殊な技術で組み直す。古銭は洗浄し、空気に触れないよう皮膜加工する。「いずれも国立博物館で展示できるレベルでの処理となる」(市教委)。

 化粧直しの後、来年3月15日に戻ってくる予定。08年度にかけ、順次整備されていく。(吉良 敦)

提供 - 函館新聞社



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