台風18号/記録的強風、市民生活に甚大な被害
update 2004/9/9 10:27
大型の台風18号は8日早朝、強い勢力を保ったまま、道南地方に最接近し北上。道南各地を暴風域に巻き込み、市民生活に大きな打撃を与えた。この影響で、渡島・檜山管内で1人が死亡、1人が行方不明、22人が重軽傷を負った(同日午後7時現在、本紙調べ)。道南全体の約19%に当たる約6万7000戸が停電したほか、交通網はマヒし、物流もストップ。被害は函館市の伝統的建造物や開陽丸のある江差港マリーナにも及び、七飯町の果樹園のリンゴはほぼ全滅。海沿いの地域では係留していた漁船やボートが相次いで転覆した。
函館海洋気象台によると、雨量は一番多かった八雲で29ミリ、江差4ミリ、函館は2・5ミリと少なかったが、吹き返しで南南西の猛烈な風が吹き、江差で9月の最大瞬間風速第1位の43・3メートル(午前8時37分)、函館でも同2位となる41・5メートル(同7時45分)を記録した。
暴風に巻き込まれる形で、事故も続発。道警函館方面本部などによると、同日午前9時45分ごろ、戸井町汐首町の船揚場で磯舟をロープで固定していた同町汐首町、漁業、森年正さん(75)が高波にさらわれ、約3時間後に約1・4キロ離れた同町釜谷町の海岸で、遺体で発見された。
大成町では同町太田、漁業、天内勝治さん(78)が、同日午前7時半に太田漁港に係留していた自分の船を見に出たまま、行方が分からなくなっている。
また、熊石町の女性(65)が強風で転倒、腰椎(ようつい)圧迫骨折の重傷を負った。
函館市によると、割れたガラスの破片やはがれたトタン屋根に当たるなどして8人が軽傷、2人が中程度のけが。軽傷者の中には、網走管内留辺蘂町から修学旅行で湯の川温泉に訪れた、男子中学生も含まれている。
渡島管内の町村部では上磯町で3人、福島町で2人、鹿部町2人、檜山管内では北檜山町で2人、江差町で1人、厚沢部町で1人が軽傷を負った。
江差町姥神町の江差港南側のマリーナ地区周辺は、満潮を迎えた午前8時半すぎから猛烈なしけに見舞われた。
徳川幕府の軍艦・開陽丸を復元した「開陽丸青少年研修センター」では、船体に固定してあった桟橋2基が流出。消火栓の配管や配線がむき出しになっている。
同町役場によると、破損した扉の付近から、大量の海水が船内に流れ込んだ可能性があり、天候の回復を待って調べるという。
函館市入舟町の函館漁港では、高波を受けた釣り用のプレジャーボート15隻が転覆、このうち1隻が沈没、1隻が流出した。転覆の被害に見舞われた同市美原の近藤健治さん(62)は、知らせを受けて駆け付けたが、船の無残な姿を見て無言で立ち尽くした。
転覆したボートは船主たちが協力して転覆させたままロープで再係留。漂流したボートは函館海上保安部が確保し、持ち主に戻された。
提供 - 函館新聞社
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