桧山沿岸日本海スルメイカ漁 2年連続の不漁

update 2004/9/7 10:13

 【江差、松前】檜山沿岸日本海のスルメイカ漁がピークを迎えているが、漁獲量は、夏季の漁獲量が低迷した昨年の6割程度と、2年連続の不漁となっている。例年、沖合を彩るイカ釣り漁船のいさり火もまばらな状態。9月以降は稚内周辺海域まで北上したイカの魚群が南下してくることが期待されるが、太平洋岸の豊漁の影響で、価格上昇は望めず、漁業関係者は表情を曇らせている。

 檜山支庁がひやま漁協(乙部町)からの聞き取りでまとめた、8月末現在の水揚げ状況によると、6―8月の累計水揚げ量は約2191トンで、冷夏に伴う海水温の低下で不漁だった、昨年の同時期に比べても41・8%減少した。水揚げ額も約6億133万円(前年同期比39・1%減)にとどまった。

 8月の管内各町での水揚げ状況をみると、南部は江差164トン(前年同月比13%減)、上ノ国同77トン(同15%減)、乙部25トン(同52%減)、熊石39トン(同23トン)。北部は瀬棚31トン(88%減)、大成79トン(67%減)で、奥尻も135トン(同23%減)と軒並み減少した。

 8月の平均単価は、日高沖など太平洋岸の豊漁が影響して値上がりせず、234円(前年同期比2・1%減)だった。

 津軽海峡西部でも不漁が続き、松前さくら漁協(松前町)の7月の水揚げ量は、前年の6割程度の453トン。8月も漁獲量は回復していないという。同漁協では「イカのダウンは大きい。好調なクロマグロ漁で穴埋めができるかどうか」と青息吐息だ。

 檜山支庁水産課は「昨年秋に島根・鳥取県、九州北部など、スルメイカの産卵場所である日本海南西部では、イカの幼生(頭部、足を除く外とう部分が1センチ未満)の分布密度が前年を大きく下回り、不漁は予想されていたが、減少の原因は分からない」と説明する。

 秋から冬にかけて、太平洋を回遊したり、稚内周辺の日本海まで北上した群れが、檜山沿岸に戻ってくれば、例年並みの漁獲も期待されるが「台風などの影響で海水が乱れており予想は難しい状態」(同課)という。

 水揚げ減少に伴い、同管内ではスルメや珍味など、加工品の原材料も不足。ある加工業者は「商品で『日本海産』をうたっているので太平洋のイカを使うこともできない…」と頭を抱え、影響の拡大を懸念している。

提供 - 函館新聞社



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