佐藤衛さんが歌集「厚き手帳」を自費出版

update 2004/9/7 10:12

 人生の軌跡を歌集として残したいと、函館市日吉町3の佐藤衛さん(73)がこのほど、歌集「厚き手帳」を印美書房(東京)から自費出版した。これまで作ってきた短歌約4000首の中から422首を収録。自身の歩みの中での喜びや悲しみを伝える一冊となっている。

 佐藤さんは日本歌人クラブや函館市の戸倉ケ丘短歌会などで活躍している。最初に短歌を始めたのは1951年、肺結核で入院したときだった。当時は不治に近い病とされていた病気に向き合ったとき、同じ病室で短歌に取り組んでいた久野好夫さんの言葉に感銘を受け、「自分の命は短いだろう、せめて自分の軌跡を残すために短歌を作ろう」と決めたという。

 以来、仕事の都合などで中断期間がある中、実質16年間にわたり歌を詠んだ。歌集には闘病や社会復帰後の生涯、旅などの様子が年代別に書かれている。

 歌集のタイトルは「厚き手帳収めて固きポケットの内のわが胸肋骨もたず」の歌から名付けた。佐藤さんは24歳の時に受けた左のろっ骨除去手術の傷跡を隠し続けていた。「今は障害者への理解が進んでいるが、当時は言葉にできない差別などがあった」と振り返る。歌集は佐藤さんが見据えてきた生涯をかみしめるよう構成しており、この歌は巻末に収録している。

 完成した本を手に「自身の生老病死を見据えてきた気持ちは変わらず、今後も続けたい」と意欲をみせている。

 A5判、190ページ。定価2500円。問い合わせは佐藤さんTEL52・3949。

提供 - 函館新聞社



前のページにもどる   ニュースをもっと読む



ご注意:
●掲載している各種情報は、著作権者の権利を侵さないよう配慮の上掲載されるか、又は、各情報提供元の承諾の元に掲載されています。情報の閲覧及び利用については「免責事項」をよくお読み頂いた上で、承諾の上行って下さい。
●掲載中の情報の中には現在有効ではない情報が含まれる場合があります。内容についてはよくご確認下さい。

ページ先頭へ

e-HAKODATE .com
e-HAKODATEは、函館市道南の地域情報や函館地図、旅行観光情報、検索エンジンなど、函館道南のための地域ポータルサイトです