1741年渡島大島噴火災害/予想以上の認知度

update 2004/9/3 10:15

 【江差】日本海に浮かぶ活火山・渡島大島(737メートル)で、江戸時代中期の1741(元文6)年に発生した、大規模な噴火に伴う津波災害の認知度が、檜山管内10町平均で33・4%に上ることが、江差測候所(紺谷俊次所長)が行った住民防災意識調査で分かった。同測候所では「予想以上に認知度は高く、過去の災害が地域に伝承されていると感じた。今後も災害の歴史とともに、火山活動が地震や津波発生に関係していることを幅広く知らせていく必要がある」と話している。

 同測候所は、北海道南西沖地震から10年目に当たる昨年、管内の15歳以上の住民2000人を対象に地震や津波災害についてのアンケート調査を行った。有効回答数は1367人(68%)。

 渡島大島噴火に伴う津波災害の認知度は、乙部町の61%を最高に、江差町(59%)、熊石町(53・6%)、上ノ国町(39・2%)と、被害が集中した地域では高い比率を示した。内陸部の厚沢部町や管内北部では低い傾向だった。また「知っている」と答えた男性は42・1%、女性は20・1%で、男女別で大きな差がみられた。

 海域に面する火山の噴火に伴い、津波災害が引き起こされる可能性については、管内全体で53%の人が「知っている」と回答。この結果も、男女別では男性58・6%、女性43・6%と、認知度と同じく大きな差がみられた。

 渡島大島は、松前沖約50キロにある直径約4キロの無人島。海底からの高さは約2300メートルある。

 1741年8月18日に始まった噴火では松前、江差などで多量の降灰があった。同28日には、山体北部で生じた大規模な山体崩壊(崩壊土砂約2・5億立方メートル)に伴い、大津波が発生。松前から熊石にかけての渡島半島西部、津軽半島の日本海沿岸が、平均3―15メートルの津波に襲われ、死者約2000人、流出家屋約800棟の被害を生じた。

 この津波では、松前・上ノ国両町の境界付近にある願掛沢で約34メートル、松前町江良では、15メートルの大津波が押し寄せたとの調査結果もある。

 1742年、1759年、1786年、1790年にも、降灰や噴煙の記録がある。昨年4月に、札幌管区気象台が上空から行った観測では、中央火口丘の寛保岳(648b)の噴気や地熱異常は観測されなかった。

提供 - 函館新聞社



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