処分寸前の「マリン」、セラピードックに
update 2004/8/26 10:09
函館市の野犬抑留所で処分される寸前だったところを動物保護団体に救われた子犬の「マリン」が、市内の高齢者福祉施設で「セラピードッグ」として利用者の心を癒やす役割を担い始めた。一度は消えかけた命に、再びともった灯(ともしび)。人のぬくもりを知り、生きる道しるべを見つけたマリンは、持ち前の人懐っこい性格で、周囲を和ませている。
マリンが引き取られたのは、このほどオープンした「帆の歌」(遠藤みほ子理事長)のグループホーム「海笛(かいてき)の家」(若松町22)。家族との触れ合いや動物セラピーなどを通じ、痴呆症状の改善などを図っている。
施設の名称から「海」にちなみ「マリン」と名付けられた。マリンは生後約8カ月のメス。7月に飼い主が市内見晴町の野犬抑留所に不要犬として持ち込んだ際、これまでに約270頭の犬を助けている函館ワン・ニャンレスキューが保護した。同団体は「外を異常に怖がり、散歩もままならない状態だった」と振り返る。
「セラピードッグ」の役割を担える犬を探していた遠藤さんとの縁がきっかけで、新たな住まいが決まったマリン。スタッフの温かいまなざしに包まれ、次第に容体も回復した。今ではロングコートチワワの「まめたろう」(オス・1歳)と施設内で遊んだり、1日数回、散歩にも出掛けられるようになるなど、元気を取り戻しつつある。
遠藤さんは「新しい環境にもだいぶ慣れてきた。おとなしい子なので、利用者への癒やしになりそう」。ワン・ニャンレスキューは「『いらない』と言われた命が、必要とされたことが何よりうれしい。マリンには幸せになってほしい」と願っている。
所有者が分からない「野良犬」と違い、不要犬は猶予期間の定めがないため、その場で処分されることも多い。市保健所によると、前年度は不要犬として181頭が持ち込まれ、うち111頭が、本年度は7月末までに64頭の届け出があり、うち30頭が処分された。ペットブームの裏側で、多くの小さな命が消されている。
海笛の家の問い合わせはTEL22・1717か、フリーダイヤル0120・910・106。函館ワン・ニャンレスキューはTEL090・6997・6744。
提供 - 函館新聞社
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