市、メンタルケア導入検討

update 2004/8/17 10:04

 職場での悩みを抱えていたり、心身の悩みが進行して精神疾患となって休職する職員が毎年度、延べ十数人いたりすることから、函館市は実効性のあるメンタルケアの導入を検討している。ただ厳しい財政状況の中、投じられる経費に限りがある上、プライバシーをどう保護するかなどの課題もあり、これまでのところ具体策は見えてきていない。

 市人事課によると、病気を理由に休職した職員は、本年度23人(10日現在の延べ人数、以下同)。このうち精神的な病気を理由としているのは約3割の7人で、残る16人はけがや内蔵・脳疾患など。

 精神疾患を理由とする休職者は、昨年度11人(全体34人)、02年度は14人(同38人)、01年度は10人(同28人)で、毎年度、休職者全体の3割を占めている。

 具体的な病名としては、「うつ病が最も多い」(同課)。年齢層は、若い世代から40―50代までと幅広く、男女の偏りも見られないという。

 市では現在、課長職昇進時にメンタルケアの研修を受けるほか、一般職員も年に数回、同様の講演会を受ける体制になっている。しかし、「忙しい」など、職務上の理由から出席率は必ずしも高くないのが現状という。さらに「単に研修を受ければそれで済むほど簡単な問題ではない」という声もあり、見直しを進めている。

 市役所本庁舎8階の健康管理室で週2回勤務する産業医の北川康男医師は、「メンタルケアの問題は、避けて通れない問題」と指摘する。

 その上で、(1)職場ごとの課題・問題点を明らかにする本格的なアンケートを実施する予算がつけられるか(2)アンケートの秘密保持をいかに守るか―の2点を大きな課題に挙げ、「コミュニケーションがとれない若者は多く、誰もが精神的な病気に陥る恐れがある。精神科医や専門スタッフを備えたメンタルケアの体制を拡充すべきだ」と訴えている。(吉良 敦)

提供 - 函館新聞社



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