戸井のマグロ漁、記録的な豊漁

update 2004/8/13 11:22

 【戸井】戸井の本マグロ漁が、記録的な豊漁に沸いている。戸井町漁協(境樹弥組合長)によると、7月10日の漁開始から8日までの累計は475本(89トン)と、不漁だった昨年8月末の13倍の本数に上る。1本の大きさも、すべて100キロを超える「大マグロ」で、漁期を終える来年1月までには、1993年の漁再開以降最高の2000本(約340トン)を突破する勢い。関係者は思いがけない“強い引き”に、期待を膨らませている。

 戸井のマグロ漁は、明治、大正期に盛んだったが漁獲量の減少で次第に衰退。93年、対岸の大間(青森県)が津軽海峡で捕っていることを知り、本格的に再開した。イカを餌にしたはえ縄漁で、31隻の船が同海峡で操業している。

 水揚量は、99年に602本(80トン)だったが次第に増加し、2000―02年には1000本(100トン)以上を維持するまでになった。厳格な鮮度管理と独自の処理方法で、東京・築地市場での評価も高く、「戸井船団」のブランド名とともに、大間をしのぐほどに成長した。

 今季の平均漁獲量は1日当たり21本(4トン)。価格は1キロ当たり2000円から1万1000円で、全国の市場で取引されている。

 今季これまでの平均価格は、昨年を1000円下回る4500円と安値だが、同漁協は「数量でカバーしているので、漁獲高は例年を上回っている。豊漁貧乏にはなっていない」と説明している。

 豊漁は戸井だけでなく、同じ津軽海峡を漁場とする恵山も同様。えさん漁協(高島武俊組合長)は昨年から本格的にマグロ漁を始めたばかりで、戸井ほどではないが、7月20日の初漁から8月10日までに、112本(22トン)の漁獲がある。

 豊漁の理由について戸井町漁協は「漁場の海水温が上昇しているためでは」と推測。北大大学院水産科学研究科の桜井泰憲教授は、「ことしは日本海の暖流・対馬海流の勢力が強く、8月の平均水温が平年の22度より3度高い25度を超えている。より高い温度の海水が津軽海峡に流れ込むことで、暖流の本流にいる大型のマグロも上がってきたのでは」とみている。(小泉まや)

提供 - 函館新聞社



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