「渡りチョウ」アサギマダラ大量発生

update 2004/8/12 13:49

 【七飯】渡りをするチョウとして知られるアサギマダラ。暖かい地方では多く見られるが、北海道での観察数は極めて少ない。しかし、その「渡りチョウ」が、ことしは道南地方で大発生している。毎年、アサギマダラの移動調査を行っている「道南虫の会」によると、7日から5日間の調査で、例年は十数匹という目撃数が200匹を超え、捕獲し印を付けて放すマーキング数も、同期間だけで過去5年間の総数の倍以上となる39件を数えているという。過去数十年でこのような大量発生は初めてで、同会の対馬誠さん(47)=函館工業高校教諭=は、「マーキング数が増えれば、当然、再捕獲の可能性も高まる。津軽海峡の渡りの解明につながれば」と夢を膨らませている。

 同会では6年前から、アサギマダラの移動を調べるため、目撃数の記録、捕獲場所(函館)および固体ナンバーを記すマーキングを実施している。昨年までの目撃数は2―30匹で、マーキング数はゼロから7件の間で推移していた。

 しかし、ことしはこれまでとは打って変わり、アサギマダラが大量に発生。同会は「気温が高かったせいか、5月中旬に本州から飛来したアサギマダラの数が多く、ここでの産卵数も多かったと思われる。今回はそれらがまとまって羽化したのでは」とみている。

 同会が7―11日に横津岳で行った調査では205匹を目撃。マーキング数も増え、これまでにオス27匹、メス12匹に印を付けた。子どものころからチョウを追いかけているという、同会の小松利民さん(53)は「四十数年、函館でチョウを見てきたが、アサギマダラをこれだけたくさん見るのは初めて」という。

 11日は午前8時ごろから横津岳で、対馬さん、小松さん、安井徹さん(53)が調査を実施した。日差しが強まり気温が上がり始めると、アサギマダラが風に舞うように次々と出現。この日の目撃数は33匹で、対馬さんらは捕虫網を手に駆け回り、オス6匹、メス4匹を捕獲、それぞれにマーキングした。

 これまでにない展開に対馬さんは「函館でマーキングしたアサギマダラが本州などで再捕獲された例はないが、ことしは別と考えたい。今後も調査を続け、好結果を期待したい」と話している。

 同会では目撃情報の提供、およびマーキング協力者を募集している。問い合わせは函館工業高校生物部TEL51・2271または対馬さん46・8104。(池田比佐史)

 アサギマダラ 関東以南の暖かい地方に多く見られ、初夏の気温の上昇とともに北上し、秋の気温低下に合わせて南下する。渡りを調べるマーキングは全国的に行われており、過去には台湾から滋賀県までの約1800キロを移動した記録も残っているが、渡りの要因や移動範囲は明らかになっていない。

提供 - 函館新聞社



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