教育大の住田教授が訳本発行

update 2004/8/12 13:48

 アメリカ初の女性化学者、エレン・スワロウ・リチャーズ(1842―1911年)の伝記「環境教育の母 エレン・スワロウ・リチャーズ物語」が、道教育大函館校の住田和子教授による訳で東京書籍から出版された。小学生でも読めるよう漢字にはふりがなをつけ、環境教育、公衆衛生学、家政学、消費者運動と幅広く活動したリチャーズの生涯を分かりやすくまとめている。

 原書はアメリカのジャーナリスト、エスリー・アン・ヴェアさんの青少年向け伝記「冒険する心」。住田教授は、夫の住田良仁さん(元北海道東海大学教授)とともに訳を担当した。

 訳書は、小学校教諭から「リチャーズの生涯について『キュリー夫人伝』のように子供に読ませたい」と相談を受けたことがきっかけとなり、1996年に北海道限定で誕生。その後、絶版状態にあったが、新たに地図や略年譜などを加え、全国へ向けて出版されることになった。

 リチャーズは、女性は高等教育を受ける必要がないと考えられていた時代に、女性として初めてマサチューセッツ工科大学で学び、アメリカで初めて女性の職業化学者になった。水質汚染や栄養学分野の先駆けになったほか、家庭に科学を持ち込み、アメリカの家政学運動の創始者としても知られている。

 訳書では、好奇心旺盛な幼少期から大学での熱心な研究活動、結婚など、リチャーズの生涯を紹介。食料品の成分分析、水や空気の汚染調査、栄養や安全に配慮した学校給食への改善など、新しい分野を開拓してきたリチャーズの功績を分かりやすく説明している。

 同書はすでに、小学校教諭を目指す同大学生が副読本として活用しているほか、女性学のテキストとして使っている短大もあるという。

 住田さんは「リチャーズの精神に触れてほしい。環境や家庭科に限らず、すべての教科に通じるはず。一人の女性の生き方としても読んでほしい。大人が読んでも楽しめると思う」と話している。定価は1365円。

提供 - 函館新聞社



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