函館西武閉店から1年

update 2004/8/11 18:33

 百貨店の旧函館西武(函館市梁川町)が22年の歴史に幕を閉じ、10日で1年がたった。後継の運営会社が1月に決まり、5月にも物販・娯楽複合施設として再開する予定だったが、出店調整が難航し、年内のオープンも微妙な情勢だ。長引く遊休化に、周辺関係者間では「本当に開業するのだろうか」と不安の声が広がっている。

 ビルを所有する西友グループの不動産管理会社、エスシーシー(東京)は、延べ床面積約2万5000平方メートルという広さがあだとなり、西武撤退後のテナント探しに難渋。1月にようやく、土木・建築資材販売などを手掛ける林屋(網走市)が借り受け、テナントを集めることで合意した。同社からは、書店やボウリング場などが入る計画案が示され、地元関係者は再生のめどが立ったと喜んでいたが、その後の進ちょく状況がつかめず、不安が募っていた。

 エスシーシーによると、開業の遅れは、出店企業の組み合わせが整わないためで、一部のテナントは決まっているという。同社は「業種などのバランスを考慮し、すべての店が決まってから、一斉オープンしたい」と説明。開業時期については「まだ未定。早くても年内」としている。

 かつてのライバル、丸井今井函館店(同市本町)と棒二森屋(同若松町)が、西武の顧客を囲い込み、閉店前より売り上げを5%伸ばす中、梁川地区周辺は沈下傾向。隣接地のテーオーデパートは3%減で、「西武との相乗効果が大きかった。現在はセールを積極的に実施し、落ち込みを食い止めている格好。長引けば、梁川商圏に深刻なダメージを与える」と危機感を募らせる。

 西武撤退後、遊休化が続き、本町から梁川町への人の流れが激減。周辺の商店主らも困惑気味だ。ある梁川町の店主は「ばかでかい空き店舗は、街の空洞化を印象付けるだけ。何とかならないものか」と不満を漏らしている。

提供 - 函館新聞社



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