北大大学院「海洋培養システム」がガゴメの養殖法実用化へ

update 2004/8/3 10:33

 北大大学院水産科学研究科などが開発した、海中にネットを張って海藻を根付かせる「海洋培養システム」が、希少なガゴメ(トロロコンブの仲間)の安価な簡易養殖法として実用化される見通しとなった。天然のガゴメが売り物になる大きさに成長するには通常2年以上かかるが、このシステムを使えば7カ月に短縮できる。品質も申し分なく、大量生産が可能で、ガゴメの確保に悩む業者らの注目を集めそうだ。

 ガゴメは、粘性多糖類「フコイダン」など、健康維持に役立つとされる成分を多量に含んでおり、急激に需要が高まっている。海流や日照などの条件がそろわないと成長せず、繁殖海域はほぼ道南に限られていることから、高値で取引されている。

 ロープで組んだネットは1・5メートル四方の大きさで、1マスの大きさは自由に変えられる。コットン製だったロープは今秋にも、台風などで流出しても環境に影響を与えないトウモロコシ素材に改善される。

 同システムでは、ガゴメの成長に適した場所にネットを張るだけなので、ストレスなく、高品質のガゴメを育てられる。函館市住吉漁港の実験では、昨年12月末にネットに付けた2―5センチの幼体が、7カ月で幅約50センチ、長さ約2・5メートルの「一級品」に成育。戸井町でも、漁業者による実験的な養殖が成功している。

 研究では、水深が深すぎるなどの理由で成長が止まっている天然の幼体を使ったが、培養も可能。研究の指揮を執る同研究科の安井肇助教授は「資源のコントロールができるメリットは大きい」と説明する。

 基礎研究の結果、安井助教授らは、道南の各海域でのガゴメ養殖に適した水深などをつかんでおり、実用化への課題はほぼ見当たらないという。

提供 - 函館新聞社



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