食中毒の原因細菌検出物質の製造に成功
update 2004/7/19 16:17
道立工業技術センター(函館市桔梗町)の大坪雅史・バイオテクノロジー科主任らの研究チームが、食中毒の主な原因となる大腸菌、サルモネラ菌、リステリア菌、腸炎ビブリオ菌の4種類の細菌を検出する物質(プローブ)の製造に成功した。プローブは、特定の細菌とだけ反応するため、食品中の菌の有無を調べることができる。技術を応用することで、食中毒の原因解明などの時間が大幅に短縮する。同チームは、このプローブを使った「迅速細菌検査装置」を本年度中に試作し、将来的には商品化を目指す。
同チームは、同センターや、北大大学院水産科学研究科(澤辺智雄助教授ら)など6団体で構成。1―2日要していた細菌検査時間の短縮化と簡易化を目指し、1996年から研究に取り組んでいる。
プローブは、生物に固有の塩基配列を利用して製造され、特定の塩基配列とだけ反応する性質を持つ化学物質。今回は、1つの細菌が持つ約100万個の塩基配列の中から、15―30個の塩基を並べて作った。このプローブが細菌に反応することで、細菌の種類や数を調べることができる。
新しい検査方法は、現在一般的な「培養法」と、河川の水質検査などに使われている「FISH法」を組み合わせた。培養法の3分の1以下の7時間で結果が出るほか、これまで判断できなかった「細菌の生死」も分かるようになった。
プローブは細菌ごとに、別の研究者らがすでに数パターンを開発、特許取得済みで、同チームは新たなパターンを探していた。今回製造に成功した4種類の細菌に対応するプローブを、今後さまざまな細菌に使用し、特定の菌以外に反応しないことを検証していく。
検出精度は、まだ培養法の10分の1程度のため、今後同程度までに高め、一層の時間短縮、装置製造時のコスト削減を目指し、11月にも特許を出願する。大坪主任は「この装置が完成すれば、より迅速、正確に食品の細菌検査ができる」と話している。
提供 - 函館新聞社
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