北大水産学部実習航海で生きた化石「コウモリダコ」捕獲
update 2004/6/11 10:08
シーラカンスと並び、“生きた化石”と呼ばれる生物「コウモリダコ」が、襟裳岬の南東125キロ沖合の深海で捕獲された。北大水産学部が実習航海で見つけたもので、日本近海で生息が確認された事例のうち、今回の発見は最も北に位置する。同学部のジョン・バウア助手と大学院修士課程1年、志村紗耶さんは「これまでの北限は福島県沖だったが、今回の捕獲で北海道周辺にも生息することが確認できた」と説明する。
コウモリダコは軟体動物門のコウモリダコ科の生物で、深さ600―900メートルの酸素が少ない場所に生息する。体長は約30センチで、黒っぽい色をしている。8本の腕と2対のひれ、発光器などがあり、腕はコウモリ傘状に広がる。深海調査の際に発見されるケースが多く、世界各地で見つかっているが、その生態はよく分かっていない。
当初は腕が8本あることから、イカの仲間とされ、学名は「地獄の吸血イカ」。後の研究で、フィラメントと呼ばれる2本の腕のような特殊な器官があり、イカでもタコでもない生物と判明。太古から姿を変えずに生きてきた、タコやイカの共通の祖先ではないかと推測されている。
日本近海ではこれまでも、いくつかの捕獲が報告されている。今回は同学部の実習船「おしょろ丸」が北太平洋の調査中、5月20日に襟裳岬沖に網を入れ、775―990メートルの深海から引き揚げた。
コウモリダコは成長の途中とみられ、大きさは体長約4センチ。引き揚げた際は生きていたといい、国内の標本としては、非常に状態が良いという。
バウア助手と志村さんは「今後の研究の貴重なサンプルになるのでは。北海道にも、こんな面白い生物が居ることを知ってもらえたら」と話している。
提供 - 函館新聞社
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