森文化堂が負債総額8億円で自己破産へ

update 2004/6/1 10:12

 「森文」の愛称で市民に親しまれてきた函館の老舗書店「森文化堂」(本店・函館市松風町3、資本金300万円、森祐平社長)が31日、近く函館地裁に自己破産申請することを決めた。民間信用調査機関の帝国データバンク函館支店によると、負債総額は8億円。従業員8人は同日までに、全員解雇となった。

 同社は1933年に創業、51年に有限会社化。本店をはじめ、川原、桔梗、上磯の計4店を展開。売り上げの90%を書籍・雑誌が占め、音楽CD・テレビゲームソフトなども扱っていた。

 最盛期の2000年9月期の売上高は14億1400万円に上ったが、出版不況に加え、大手レンタルビデオ店や中古書店との競合で苦戦。不採算店舗の閉鎖などで経営再建を模索したが、03年9月期の売上高は9億2900万円まで減少。仕入れ先が支援を打ち切り、事業継続を断念した。
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 名門店、森文化堂の閉店の知らせは、函館の地元書店主や読書愛好家に衝撃を与えた。市内でも有数の品ぞろえで「市内で良書を買うなら森文」といわれるほど象徴的な存在だっただけに、一同戸惑いの様子。特に同じ業界の書店主らは「次はうちだ」と戦々恐々だ。

 全国と同様、函館の書店は、大手ビデオレンタル店や中古書店進出の以外にも、若者の活字離れやインターネット通販の普及などで逆境続き。市内のある書店主は「売れ筋の漫画を中古で安く売られたらかなわない。正直、注文もうちに頼むよりインターネットの方が早いし…」と時代の変化を嘆く。

 函館の書店主でつくる北海道書店商業組合函館支部は、会員減少に歯止めがかからず、3年前から事実上休止状態。別の書店主は「大手は進出してきても組合には入らないから、ほとんど意味がなかった」と指摘し、「地場の書店が束になっても大手にかなわないよ」と厳しい経営環境を説明する。

 市民からも閉店を惜しむ声は多い。ある20代男性会社員は「インターネットも便利だが、やはり本は手に取って選びたい。昨年8月に西武が閉店し、専門書を選べる店として森文の存在は大きかった。これから、どこで本を買えばいいのだろう」とため息交じりで話していた。

提供 - 函館新聞社



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