須藤さんが「宗教用語大事典」を刊行
update 2004/5/27 10:10
郷土史家で函館市船見町の称名寺住職、須藤隆仙さん(74)が取り組んできた「世界宗教用語大事典」がこのほど完成、新人物往来社から刊行された。執筆に4年、校閲に1年半かけた、自身40冊目の著作。書名通り、世界のさまざま宗教と、その表裏をなす思想・思想家を網羅している。須藤さんは「宗教は癒やしにも殺人にもなる功罪を持っている。心の時代と言われる中、一般の方が知識として宗教を学べる一助になれば」と話している。
収録用語は約1万5000。仏教、キリスト教、イスラム教などの世界宗教から、ユダヤ教、ヒンズー教などの民族宗教、道祖神などの民間信仰まで幅広い。中国の諸子百家やドイツ観念論などの思想や哲学、世界の神話も掲載している。
「高校生以上が読んで、無理なく理解できる内容」との編集方針通り、項目ごとの説明も要点を押さえた簡略な文章となっている。例えば「てんごく【天国】一般に、心の正しい人の魂が死後に行き生まれるとされる永遠の安息の場所。各宗教にみられるが、ふつうはキリスト教のそれを指す」「じょうど【浄土】仏教で仏や菩薩カの住む世界をいう」など、平易だ。
また「宗教はアヘンである」と言った、反宗教の立場を取るマルクスも紹介。「マルクスの父はクリスチャン。ヨーロッパで反宗教の立場を取った人の背景にも、必ず宗教が関係しています」と須藤さんは指摘する。
宗教家、郷土史家としての集大成ともいえる著作の刊行を終え、須藤さんは「人間生活の機微や文化、芸術、学問の発展などに宗教が果たした役割を知ってもらえたら」と話している。
A5判、1135ページ。2万9400円。初版は500部作製した。問い合わせは新人物往来社TEL03・3292・3971。
提供 - 函館新聞社
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