タネバエの被害実態を調査

update 2004/5/25 13:37

 【江差】ハエの一種、タネバエの幼虫によるダイコンへの被害が、檜山南部地域を中心に拡大しており、檜山支庁農業振興部は本年度、生産量が多い厚沢部町を中心に初の本格的な被害実態調査を行う。同部は「農家経営意欲に大きな影響を及ぼすため、本格的な調査が必要」としている。

 調査は同部、檜山南部地区農業改良普及センターが実施。道南農業試験場の協力を得て、被害実態の把握に努める。8月中旬までの予定で、同町内のダイコン畑3カ所で定点調査を行う。週1回、株を抜き取り食害状況を確認するほか、成虫の発生状況も調べる。町内の選別施設では、出荷されたダイコンのうち、1ほ場当たり500株を抜き取り、被害の実態を調べる。

 調査を行う同町では、タネバエの幼虫によるダイコンの食害は2001年ごろから増加。同部によると、同町では昨年度、収穫本数のうち平均21・5%が被害を受け、出荷できない状態だったという。1戸当たりの推定被害額は241万7000円に上るという。

 同町では6月ごろからダイコンの収穫が始まり、札幌方面や本州各地に出荷している。ダイコンの作付面積はピーク時には、約300ヘクタールあったが、食害の増加により昨年度までに175ヘクタールまで減少が進んだ。売上額も約10億円から約5億円と半減したといい、被害の深刻化している。

 道内の他地域では、タネバエによる深刻な被害は報告が少なく、同部では「管内では冬季の気温が高くハエが越年している可能性もある」とみて、詳しく調査を進める方針だ。

 タネバエは日本各地に分布し、幼虫は白色または黄白色で、成長すると体長は6ミリ程度。成虫の体長は4―6ミリ。1月に1回程度の頻度で産卵、羽化を繰り返す。幼虫はダイコンなどの畑作物や野菜の種子、幼苗に寄生する。表皮に穴を開けて内部を食べる重要害虫として知られる。収穫時には成虫として羽化してしまうため、実態把握が難しい状態にある。

提供 - 函館新聞社



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