四稜郭近くで縄文時代前期の遺跡発見
update 2004/5/22 15:13
函館市陣川町の史跡・四稜郭跡の近くで縄文時代前期(約5000年前)の遺跡、「陣川町2遺跡」(仮称)が見つかったことが21日までに分かった。民家跡や多数の縄文式土器などが出土し、市教委文化財課は「集落の端部」とみている。市内で縄文前期の住居跡が標高の高い位置で発見された例はなく、同課では「海際から離れた場所で見つかったことは注目に値する」と話している。
遺跡が見つかったは同町66、建設会社「技研」(本社・市内神山3、丸山茂男社長)の作業場で、同社が建設作業用の土砂を採掘していた際に発見した。
通報を受けた同課職員が、採掘した約600平方メートル、深さ約1メートルを調査したところ、住居跡は4基と判明。それぞれ縦4メートル横6メートルの規模で、柱と炉の跡があった。一緒に見つかった土器は大きなもので直径40センチ(推定)。すべて破片の状態で約2000点が発見された。このほか、矢じり、石おの、食べ物をすりつぶすすり石などの石器類も出土した。
今回見つかった土器は縄文前期のものと見られ、函館周辺ではこれまで「函館空港4遺跡」「桔梗サイベ沢遺跡」などで見つかっている。いずれも標高の低い海岸周辺で、この時代は「魚介類などを食物に生活をしていた」とされていた。ところが、陣川町2遺跡周辺の標高は約100メートル。同課は「前期の終わりころから山に住んでいたと推測できる。既に山の食物や動物に依存していたとも考えられる」という。
市内に現在ある遺跡の数は今回を入れて142と少なくないが、同課は「小範囲で、これだけ大量の土器が出たことからみれば、ほかにも10―20の住居跡が見つかると思われる。調べれば範囲もかなり広がる可能性がある」とみる。しかし、土地所有者は今後の現状保存の意思を示していることから、これ以上の調査などは行わない方針。発掘された土器は復元し、要望があれば学校教材に貸し出す予定となっている。
提供 - 函館新聞社
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