長万部町のバス事故受け「言葉の壁」函館は大丈夫?

update 2004/5/11 09:55

 長万部町で1日に起きた大型バスの横転事故で救急隊員らは、負傷した台湾人ツアー客を相手に「言葉の壁」に悩まされた。近年、東アジアを中心に海外からの観光客が増加している函館市。実際、市消防本部には外国人からの通報もあり、英語のマニュアルを作るなどし、対応している。ただ、すべての言葉をカバーすることは不可能で、同本部警防課は「傷病者を観察する能力を高める一方、通訳を抱える機関と連携するなどし、大型事故に備えたい」としている。

 長万部の事故では、亡くなった運転手の男性を除き、全員が台湾人だった。添乗員の女性が日本語を話せ、活動に大きな支障はなかったが、隊員は「本人と話ができない分、けがの状態の把握など、困難があった」と振り返る。

 外国人の通報が多い東京消防庁は、受信や救急の担当部署などに、可能な限り英語が話せる職員を置くよう配慮している。また、英会話研修の実施など、体制づくりに取り組んでいる。

 一方、同本部は通訳ができる職員を配置していないが、通報の受信時と救急現場向けに英語のマニュアルを作成し、外国人からの要請を受けている。年間1万件を超える救急要請のうち、外国人からの通報はわずかだが、漁船乗組員がけがをしたなど数回、出動があるという。

 通報場所が分からなくても、電話の発信地を探り、ある程度まで特定することができる。けがや病気についても、相手が少人数であれば、観察や身ぶり手ぶりなどで、大まかに症状を読み取ることができ、大きな混乱は起きていない。

 ただ、長万部のように大勢のけが人が出た場合、活動にはさまざまな困難が予想される。同課は「まず、大量の隊員を現地に向かわせ、言葉によらない観察により、傷病者と現場全体の状況把握を最優先させる」と話す。

 加えて、状況に応じて市や警察など、通訳を抱える機関に派遣を求める一方、医師へ出動を要請するなど、2次、3次の対処法を申し合わせている。

 同課は「外国語を話せる職員がいることが理想だが、現実には難しい。しかし、日ごろの業務の中でしっかりと意識付けをしていれば、長万部のような事故にも、現体制のままで対応できるだろう」とみている。

提供 - 函館新聞社



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