DV その後の影響深刻

update 2004/5/8 16:05

 配偶者や恋人などからの暴力ドメスティックバイオレンス(DV)の現場から、民間シェルターに母親と一緒に逃げてきた子どもの多くが、何らかの被害と影響を受けていることが、北海道シェルターネットワークの調査で分かった。子どもが受けた心身の傷は、成長過程で深刻な事態を引き起こしていることも判明。同団体は、シェルターでの子どものためのサポート機能の必要性を課題として挙げている。

 調査はウィメンズネット函館をはじめとする道内7団体が2001年4月から03年9月まで扱った子どもを伴うDV183ケースを集計した。

 子どもに対する被害状況では、全体の43・7%が身体的な暴力を受けていることが明らかになった。そのうちの半数は平手打ちされ、このほか物を投げられたり、殴られるなどしている。中には逆さづりや水につける、やけどを負わせるなど命にかかわる虐待も少数ではあるが行われていた。

 精神的には90%の子どもたちが被害を受けており、79・8%が実際の暴力場面を目撃。怒鳴られたり、脅されたり、一方的なルールの押し付けなど、精神的に不安定になる様子がうかがえる。性的な虐待も数は少ないがあり、実父や実祖父からの受けたケースが多いことが分かった。

 DVの影響によって、子どもたちの32・8%が、ぜんそくやPTSD(心的外傷後ストレス障害)はじめ身体に何らかの異常が出たほか、精神的にも35・5%がぬぐい去ることのない不安感を訴えている。

 精神的影響の特徴として、感情表現が乏しくなったり、防御的表現として、優等生になったり、逆に不登校や無関心になったりするケースがあるという。

 調査結果から、同ネットワークは「子どもに焦点をあてた聞き取りを重視しシェルターに迎え入れる段階で何らかの対応を準備できるようにしなければならない」としており、相談者の養成と、子どもが回復するためのサポート専門スタッフが必要だとしている。

提供 - 函館新聞社



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