石置屋根が浜の息吹きを伝える…「旧笹浪家住宅」一般公開
update 2004/5/5 16:35
【上ノ国】道内最古級の民家で知られる、上ノ国町の「旧笹浪家住宅」(重要文化財)の一般公開が4月下旬に始まった。大型連休中も、町内外から数多くの見学者が訪れている。真っ黒にすすけた重厚な柱や梁(はり)が、ニシン漁で栄えた浜の息吹を伝えている。
笹浪家は18世紀から続いたニシン漁の網元。住宅は19世紀前期に5代目・久右衛門が建設した。いろりの煙が染みついた主屋の柱や梁には「桧山」の語源となったヒバ(ヒノキアスナロ)が使われている。「たば風」(冬に吹く北北西の季節風)を避けるため、低く造られた石置屋根にも、ヒバ材を薄く削った柾(まさ)が葺(ふ)かれている。
明治20年ごろの製作と伝えられる、船時計が静かに時を刻み、現在の技術では製造できない、ゆがんだ窓ガラスに屋外の風景がぼんやりと浮かぶ。町郷土資料アドバイザーの久末久義さん(76)は「町内の海岸に並ぶ民家の大半は石置屋根だった。この住宅が最後の一棟。懐かしさを求めて訪れる人も少なくありません」と語る。
炭火が揺れるいろりには、町内の大安在浜産でジャスパー(へき玉)やメノウが混じる、色彩豊かな砂を使うのが町内の伝統。久末さんは「かつては50センチほどの薪を燃やした。砂にくしに刺した魚を立てて焼きました」と、遠い日を振り返る。
公開は11月14日まで。公開時間は午前10時から午後4時。毎週日曜日と祝日の翌日は休館。観覧料は大人300円、小中高生100円。職員2人がガイドに応じる。問い合わせは旧笹浪家住宅管理室TEL01395・5・1165へ。
提供 - 函館新聞社
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