刑務所、刑務作業確保に四苦八苦
update 2004/4/18 12:15
函館少年刑務所(函館市金堀町6)は受刑者に科す刑務作業の確保に苦戦している。景気低迷のあおりで、民間事業所からの仕事の受注が減る一方、不況時には収容者が増える、刑務所ならではの事情などが背景にある。担当職員はここ数年、事業所回りが日課となっており、景気が回復しない限り、今後もこの状況はしばらく続きそうだ。
懲役刑の受刑者は、毎週月曜から金曜までの毎日8時間、製造関連を中心とした刑務作業をしなければならない。刑務所が独自で行う木工品の製作などを除き、作業の大半は民間からの注文を受け実施している。民間側には賃金を低く抑えられ、福利厚生の費用もかからないなど、コスト面でのメリットがある。
同刑務所でも製造業をメーンに、金属加工や木工、被服、印刷など、民間から請け負ったさまざまな作業が行われている。
10数年前のバブル期には、刑務所側が作業を選択しなければならないほど、民間からの依頼が相次いだ。ただ、長引く不況が依頼を先細りさせているほか、作業内容が製造業中心のため、賃金の安い中国などとの競合もあり、ここ数年は作業量の確保が困難な状況となっている。
加えて、景気が冷え込む時期には犯罪が増え、収容者の数も増加の一途をたどっていることも大きな要因。同刑務所では現在、定員831人を超える約930人を収容しており、そのうち900人前後が懲役刑を受けている。受注量が伸びない中、確保すべき作業量が増えるというジレンマがある。
同刑務所処遇部は「全国のどの刑務所も抱えている問題。仕事を得るため、新たな事業所への訪問を増やすなど、対応に努めており、なんとか作業量を保っているのが実態」と頭を抱える。しかし、事業所回りでの感触では「景気が回復しているとの実感はなく、厳しい状況に変わりはない。早く景気が回復することを願うばかり」と話している。
提供 - 函館新聞社
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