声徳会の森川光夫さんが母親の前で初めて江差追分披露
update 2004/4/13 10:01
【知内】江差追分会函館声徳会支部の会員、森川光夫さん(56)が11日、高齢者総合福祉施設知内しおさい園に入居する母親のシサさん(94)に江差追分を初めて披露した。「母親が生きているうちに一度、江差追分を聴かせたい」と思い続け、同支部が同老人ホームで民謡発表を開いたことで実現した。森川さんは「胸がいっぱいです」と感無量の表情。親子のきずなを確かめたひとときだった。
森川さんの民謡歴は25年。1993年に同支部に入会し、唄(うた)の腕前を磨いてきた。
5年ほど前、シサさんが同施設に入居。互いに会うことはめっきり減り、森川さんは「自分が志している江差追分を聴かせたい」と思うようになった。
同支部はもともと、ボランティアで福祉施設や病院を訪問し、民謡発表を勢力的に行っているが、しおさい園へ訪れる機会はなかった。
「会うたびに母親からは、お金をくれるなら聴いてやるよ、と言われてました。その時はまだまだ唄い手として認めてくれなかったのでしょうね」と笑う森川さん。
そんなシサさんが最近、「一度聴いてみたい」とポツリと漏らし始め、同施設と同支部の協力を得て発表会が実現した。
この日は、18人の会員がそれぞれ、津軽三味線や詩吟、花笠音頭、カラオケなどを発表。森川さんは、内村徳蔵支部長とともに江差追分の掛け合いを披露した。「いつもの施設訪問と比べものにならないくらい緊張しました。のどが渇きました」と振り返る森川さん。シサさんも、熱唱する森川さんをじっと見つめながら聴き入っていた。
発表が終った後、互いに言葉をかわすことはなかった二人だったが、シサさんは「とても上手だった。息子の唄を聴くことができて良かった」と静かに喜んでいた。
提供 - 函館新聞社
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