函館漁港改修進む 屋根付き岸壁7月に完成

update 2004/4/11 16:23

 函館開発建設部は、函館漁港(函館市入舟町)の大規模改修事業を進めている。7月には、南側堤防に屋根付き岸壁が完成する。来年には、東側堤防に浮体式係船岸の基礎工事が始まる予定だ。また、明治時代の貴重な産業遺産として残る石積み防波堤を保存修復するほか、市民や観光客らが楽しむイベント広場などを新設する。「観光都市交流型漁港」への転換に向けた、総事業費約34億円の大型プロジェクトで、2006年度中の事業完了を目指している。

 漁港漁場整備法に基づく「直轄特定漁港漁場整備事業」として、02年度に着手。漁業者、市民、観光客らが共有できるスペースを目指す。

 屋根付き岸壁は、全長103メートルにわたり、高さ約5・6メートルのコンクリート製の屋根が架かる。陸揚げされる活イカの鮮度が、風雨や日差しで低下したり、カモメなど野鳥のふん類で汚染されたりするのを防ぐのが狙い。活イカ漁の最盛期を除いた昨年12月に着工し、総工費は約3億6000万円。

 浮体式係船岸は、労働環境の改善が目的。浮体式構造のため、漁船のデッキと係船岸の高さが変わらず、乗降や荷物の積み下ろし作業の安全性が確保されるという。着工時期や規模などは、今後詰めていく方針。

 石積み防波堤は、貴重な産業遺産として保存され、観光・交流資源としての活用策が検討されている。築港の権威、故広井勇博士が監督技師として手掛けた約110メートルの防波堤で、1899(明治32)年に着工。道内最初の近代港湾施設として知られ、学術的にも貴重とされるが、老朽化が目立っていた。

 また、交流広場の開設場所や広さなどは未定だが、停泊するイカ釣り漁船やプレジャーボートを間近に楽しめるほか、観光や水産のイベント開催時などに開放するという。海に沈む夕日や、石積み防波堤を眺められる新たな観光スポットとして期待されている。

  函館開建築港課は「安全で快適な上、マチとの交流をはぐくむ複合的な施設を備えた漁港整備を図りたい」と話している。

提供 - 函館新聞社



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