函館稜北病院医師らがイラク邦人救出を知事に要請

update 2004/4/10 13:21

 「道民の命を守って!」―。道内出身者2人を含むイラクの邦人人質事件で、道南勤医協函館稜北病院(函館市中道2)の医師らが9日、人命を最優先した対応を政府に働き掛けることを求めた要請書を、高橋はるみ知事あてに提出した。同病院は3月に、拘束されている千歳市の高遠菜穂子さん(34)を招き、イラクの現状を語る「帰国報告会」を開いている。

 この日は山下悟専務理事、堀口信医師ら26人が渡島支庁を訪れ、要請書を前田晃支庁長に手渡した。要請書では「道民の命を守るために政府に強力に働き掛け、国連中心の平和的なイラク問題の解決のためにもご尽力いただきたい」と、早期解決を訴えている。

 高遠さんは3月12日に同病院で、イラクに住む家のないストリートチルドレン、劣化ウラン弾被爆医療の支援などのボランティア活動について講演。イラク人の話として、「フセイン政権下でも、夜中の1時、2時まで友人と遊べたが、今は(治安も悪く)出歩けない。フセインは嫌いだが米国は憎んでいると語っていた」などと紹介。また、「サマワでは、日本人が来ることを歓迎しているが、多くの人は企業が来ると思っており、自衛隊の説明をすると、日本に“軍隊”があるのかと驚かれる」などと語っていた。

 同病院は「高遠さんから日本がなすべき復興支援のあり方を深く学んだ」という。山下専務理事らは自衛隊の即時撤退を求め、撤退を否定する政府の見解に不信感をあらわにした。

 前田支庁長は「皆さんのお気持ちはよく分かる。道を挙げてできる限りのことをやっていく。早速、知事に伝えたい」と受け答えた。

 道は8日夜に「邦人拘束事件災害対策連絡本部」(本部長・高橋知事)を設置。上京中の山本邦彦副知事が外務省から情報を収集している。

 また、非核・平和函館市民条例を実現する会は10日午後零時半から、丸井今井函館店前で、自衛隊の撤退を要求する街頭活動を行う。

提供 - 函館新聞社



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