南茅部・焼損の漆に成分残存

update 2004/3/31 10:01

 【南茅部】2002年12月の南茅部町埋蔵文化財調査団事務所火災で焼損した、世界最古とされる漆の装飾品に、漆成分と糸の構造が残っていたことが分かった。ウルシの木の系統や、糸の原料などが明らかになる可能性が出てきたことになり、関係者からは喜びの声が上がっている。

 奈良文化財研究所の調査で確認された。漆製品は、同町の垣ノ島B遺跡から副葬品として発見され、放射性炭素による年代測定で約9000年前に作られたことが判明していたが、成分分析などの研究が行われる前に焼損した。

 漆も糸も、残ったのはごくわずかだが、町教委埋蔵文化財調査室によると「分析を行うには足りる量」だという。日本の漆文化は、縄文期に大陸から伝わったとされていたが、同町の漆製品発見で、日本から大陸に渡った可能性も指摘されているだけに、貴重な資料が残ったことになる。

 同調査室の阿部千春室長は「漆成分は残っていないと思ったので、うれしい調査結果だ」と声を弾ませていた。

提供 - 函館新聞社



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