函館聾学校で58年目の卒業証書

update 2004/3/20 10:28

 戦後の混乱で卒業式に出席できなかった女性が、19日に行われた北海道函館聾学校(山本浩司校長)の卒業式に出席し、晴れて卒業証書を手にした。58年遅れで迎えた記念日。長年の夢がかない、胸のつかえが取れた女性は、新たな門出に、晴れ晴れとした表情を見せていた。

 卒業証書を受けたのは、札幌市在住の谷口房子さん(77)。1927年函館で生まれ、41年3月に同校の前身・函館盲唖ケ院聾唖ケ部初等部を卒業後、同聾唖ケ中等部に進んだ。45年4月には中等部裁縫科5年生に進級したが、太平洋戦争の激化に伴い同年7月、上川管内美瑛町に疎開。46年3月には卒業するはずが、戦後の混乱期で函館に戻れず、卒業証書も受け取れないままとなっていた。

 昨年5月、谷口さんの知人が同校に話を持ちかけたところ、同校が過去の事実を調査。45年度の卒業生名簿では、谷口さんの名前を確認できなかったが、当時の状況や谷口さんの名誉や社会的、教育的意義などを考慮し、特別措置として卒業証書を贈ることを決めた。

 初等と中等部の卒業生の後に、山本校長が谷口さんに特別卒業証書を手渡ししたほか、記念品や花束を贈り、58年越しの卒業を祝った。

 半世紀以上待ち続けた「この日」を迎えた谷口さんは「これまで卒業証書について考えることはありましたが(実際に)もらえるとは夢にも思っていなかった。うれしくて胸がいっぱいで、先生方に感謝しています」と喜びをかみしめていた。

提供 - 函館新聞社



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