店舗型、無店舗型…風俗店が潜行
update 2004/3/8 11:50
「レンタルルーム」と呼ばれる短期滞在者用の居室で、男性客に女性従業員を差し向け、性的サービスを提供していたとして、函館市内の暴力団幹部ら5人が、風営法違反(禁止区域での営業)などの疑いで逮捕された。道の風営法施行条例により、店舗型営業が規制されている函館市内で、店舗型の「亜種」として風俗店が暗躍していた格好だ。摘発した函館西署によると、このような手口の摘発は道内で初めてという。道警函館方面本部は、違法な性風俗店の一掃を目指すが、「裏世界」は広がりつつあると警戒する。少女が性風俗業の「餌食」となりうる、デリバリーヘルスのような無店舗型風俗店も増加しているという。
函館西署によると、摘発した5人のうち4人は、2002年11月から今年1月まで、店舗型性風俗特殊営業の禁止区域である同市本通2で、時間制で部屋を貸すレンタルルーム「ラ・フォーレ」を営業していた。経営者は市内の暴力団幹部(33)。同署などは2月4日までに、経営者と従業員3人を、この部屋で1月31日夜、女性従業員に男性客へ性的サービスをさせた疑いなどで逮捕。また、5日までに、経営者に市内の少年(16)を紹介したとして、もう1人の市内の暴力団幹部(33)を、児童福祉法違反(ぐ犯者に引き渡す行為)の疑いで逮捕した。
同店が入居していたのは3階建てマンションの最上階。フロアの全5部屋のうち1部屋を事務所として使用していた。残り4部屋で、部屋を借りた男性客相手に、事務所が女性従業員を派遣し性的サービスを提供させていたという。各部屋は約8畳で、部屋代は60分980円。市内をはじめ道内外約350人の顧客を持ち、1日あたり約10人の客がいた。1カ月の売り上げは数百万円に上ったという。同署は「ホテル代を浮かせようとする男性客の心理を突いている」としている。
今回、違法な「裏世界」の舞台となったのは、市内の閑静な住宅街にあるマンション。風営法と同法施行条例は、札幌市・ススキノ地区(中央区東4―6条、同西2―5丁目)を除き、道内全域において、店舗型性風俗店の営業を禁止している。
風営法は、店舗型性風俗店の禁止区域を、学校や図書館、児童福祉施設などの周囲200bの区域内とするが、1984年に改正した道条例で、道が独自に営業禁止区域を設けられるようになった。道警函館方面本部は「条例は、少年の健全育成を図るため。店舗を構えると、子供や市民の目に触れやすくなる」とする。
一方で、市内には、店舗を構えず営業する無店舗型風俗店も多数ある。中でも、客から連絡を受け、ホテルや自宅に女性を派遣するデリバリーヘルスと呼ばれる業態は、携帯電話1つで手軽に始められるため、「年々増加している」(同本部)。同本部管内では現在、82店が同方面公安委員会に届け出ている。
ただ、この派遣システムでは、一部で売春行為も行われているとされ、「アルバイト感覚で手招きに応じる未成年者も多い」(同方面本部)という。その一例が昨年6月、函館中央署が摘発したケース。家出中の中学生女子(14)を、市内のホテルに差し向け、札幌の男性会社員を相手にいかがわしい行為をさせたとして、同市内の無店舗型風俗店経営者(24)が逮捕された。同方面本部は「無店舗ゆえ、監視が難しく、売春など犯罪の温床になりつつある」と警戒する。
未成年者も巻き込んで潜行する市内の性風俗店。店舗型と無店舗型といった形態の違いこそあれ、摘発者に暴力団が含まれているように、背後には、性風俗業を資金源とする暴力団組織の介在も見え隠れする。同方面本部は「今後も、摘発の手を緩めず、違法な風俗店には厳しい対応で臨む」としている。
提供 - 函館新聞社
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