志海苔中世遺構出土銭の保存整備へ

update 2004/3/1 11:50

 函館市は新年度、昨年5月に国の重要文化財に指定された「志海苔(しのり)中世遺構出土銭」の保存整備事業に着手する。2004年度から5カ年の予定で、初年度は400万円を計上し、総額は2000万円程度となる見込み。市立函館博物館で展示中の出土銭の一部とかめ3口は、順次整備し、かめを2口にするなど内容を変更して展示していく。

 1968年7月、同市志海苔町の漁港付近で行われた国道拡幅工事の際に発見された。

 古銭37万4435枚は、年代は前漢時代の紀元前175年ごろに鋳造されたとみられる四銖半両(よんしゅはんりょう)から明代初期の洪武通宝(1368年初鋳)まで、1500年ほどの時代幅がある。

 このほか、古銭が入っていた大口のかめ3個、スギ材の敷板1枚など。かめは2個が福井県産、1個が石川県産で、14世紀後半から末にかけて埋設されたとみられている。

 37万枚もの古銭が一カ所から出土したのは国内初で、貨幣流通経済が定着しつつあった中世社会の日本海海運文化を物語る歴史資料として評価され、重文指定に至った。

 保存整備は文化庁の補助事業で、同庁が選定する専門業者が実施する。古銭は酸化を防ぐよう、1枚1枚を洗浄した後、皮膜加工する。大がめはいったん解体した後、特殊な技術で組み立て直す。こうした大掛かりな保存整備は出土後初で、作業は早ければ6月ごろから始まる見通し。市教委文化財課は「半永久的にいいコンディションを保つことができる」と話している。

提供 - 函館新聞社



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