細見・議員身分で揺れる市議会

update 2004/3/1 11:48

 函館市と渡島東部4町村(戸井町、恵山町、椴法華村、南茅部町)が今年12月1日の合併を目指し、協議をスムーズに進める中、議員の身分について函館市議会内部の論議が大詰めを迎えている。4町村議会が合併後、任期満了まで市議として留任する「在任特例」の適用を求めることで一致しているのに対し、市議会は4町村への配慮を求める会派がある一方、在任特例の適用を疑問視する会派もあり、意見が分かれているのが実情。定例会会期中の3月12日に開かれる市町村合併調査特別委員会で一定の方針を取りまとめる考えで、一致にはさらなる紆余(うよ)曲折も予想されるが、議会内部からは合併特例法そのものへの不満も出ている。

 函館市議会は今年1月、市議会の定数34人に4町村議会分12人を加えた「46人案」をまとめ、4町村議会に提示した。地方自治法の上限の議員定数となり、合併と同時に選挙を行う形だ。

 これに4町村議会は、定数を84人とする在任特例の適用後、次の一般選挙(2007年4月)で4町村に定数1の選挙区を設け、同38人とする定数特例の適用を求めることで一致。今月17日、福島恭二市議会議長に申し入れている。市議会内部は4町村側の求めへの判断をまとめ切れず、「方針決定に至った経緯を聞きたい」(同調査委)として、再度4町村議会にボールを投げ返した。

 市議会が46人案を提示するに至ったのは、市と4町村とでの人口比率の差に伴い、一票の格差が市と4町村で大幅に異なる点が挙げられるほか、町村側には漁業など本業を持つ議員が多く、活動日数増加を負担と感じることを慮った部分もみられる。さらに、議員報酬が市議の月額51万円に対し、4町村議で同16万5000円―18万円と開きがあり、市議にそろえることで生じる財政負担を疑問視する意見もあった。

 ただ、一方では、すでに住民から付託を受けた議員をもう一度選ぶのは理解を得られない―と課題を指摘する声や、任期満了までの一時的措置として引き受けるべき、とする意見もある。

 これに対し、町村側は在任特例を求める理由について、以前市と合併した旧銭亀沢村、旧亀田市の議員が全員市議会に加わった例に加え、法定合併協議会で合意した事項に「当面は市の規定に統一する」といった、あいまいな記述が多い点を挙げる。

 「協議事項の中には、市議会で議決して廃止できるものが多く、財政が厳しければすぐ切り捨てられる不安がある。住民に不便をかけないよう、全員で見守りたい」(戸井町の議員)。4町村はともに漁業が基幹産業。抱える悩みは共通している。

 懸案の議員報酬に関しても、増加する活動時間に見合う報酬を求める議員がいる一方、「報酬のために市に行くわけではない。報酬については市の審議会など、第三者機関で決めてくれればいい」(前出の議員)とする声も出ている。

 問題が長引いていることに関し、ある市議は「特例法だと、例えば0か100かを選べと言われているようなもので、国が勝手に枠を決めている。これではまとまらない」と打ち明ける。議員身分を保障する法律とはいえ、極端な例を示した特例法に振り回され続ける市と4町村。問題を解決するには、今一度「議会制民主主義」のあり方ををどうとらえるかが、焦点となりそうだ。

提供 - 函館新聞社



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