工藤さん「このみ塗り展」中央郵便局のふれあいコーナーで
update 2004/2/22 16:37
古い木製の練り鉢を再生して花器にする「このみ塗り」の作品展が、27日まで函館中央郵便局の1階ふれあいコーナーで開かれている。作者は函館市本通1で塗装店を営む工藤ひとしさん(56)。陶製の花器よりも軽く、何度も塗り替えが利くため、華道展に重用されている。5年前から始めたばかりだが、制作活動は今や工藤さんのかけがえのないライフワーク。「古いものをなくさないよう、大切な文化を残したい。一度見に来て触れてほしい」と来場を呼び掛けている。
そばや団子をこねた明治や大正時代の練り鉢を花器として活用する、工藤さんが生み出したオリジナル芸術。5年前に華道をたしなむ知人から「練り鉢で花器を作ってほしい」と頼まれたのを機に制作活動を開始。これまでに400―500軒の農家を回り、納屋に眠っている鉢をもらい受け、40個の花器を作り上げている。
練り鉢といってもそのほとんどが割れたり、砕けるなどしており、ほとんどが原形をとどめていない。それらをつなぎ合わせて元の形にした上で、塗装を10回ほど繰り返し、水の漏れない花器に仕上げる。本業の合間を塗っての作業で「1つ完成させるのに2、3カ月はかかる」という。
このみ塗りは、元が木製の鉢だけに軽く、色を塗り替えれば趣の異なる作品にすることもできる。その特徴が受けて華道展などでオリジナル花器として活用されている。「直径1メートルほどのものでも1人で持てる。塗装をし直せば1点が10点、100点にもなる」と工藤さん。「このみ塗り」という名も「好きなように塗り替えられる」というところから付けられた。
会場には「これだけ大掛かりなのは初めて」というように過去最多の21点を展示。鉢、臼、皿など形もさまざまで、くすんだ緑や光沢のある2色塗り、15回も色を重ねた作品などがずらりと並ぶ。割れた部分をわざとずらして合わせたり、元からのひびをそのまま生かした味のある花器など、どれも個性豊か。塗装もさすがの腕前で、光り具合や質感は近づいてじっくり見ても陶器そのものだ。
「鉢の香りにあった色に塗り上げるのが難しく、また、楽しい。今後もいろいろと試してみたい」。50歳を過ぎてからの新たな挑戦は工藤さんを生き生きと輝かせている。
提供 - 函館新聞社
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