函館市中核市移行を検討

update 2004/2/18 14:38

 函館市は、戸井町、恵山町、椴法華村、南茅部町と合併後、「特例市」から政令指定都市に近い権限が与えられる「中核市」に移行することを検討している。自己決定権の拡大や交付税優遇措置などのメリットが期待され、2005年10月の移行を目指す。しかし、中核市指定の人口要件となる「30万人」の維持には黄色信号がともっており、道や国との協議は難航が予想される。

 函館市を含む渡島東部5市町村は、目標としている12月1日に合併すると、人口30万5311人(2000年国勢調査)となり、人口要件(30万人以上)を満たす。

 しかし、住民基本台帳による5市町村の人口は1月末現在、30万1458人。人口動態から推計すると、「来年10月の国勢調査時点で30万を維持しても、調査結果の概数が出る12月には30万人を切る可能性もある」(西尾正範助役)ため、合併後の早急な対応が求められる。

 指定手続きは通常、毎年10月に政令公布、翌年4月1日施行というスケジュール。要件となる人口は、5年に1度実施する国勢調査の結果に基づくため、30万人割れが予想される来年10月の国勢調査までの移行を目標とし、道や国と協議している。

 市などによると、指定に伴って必要となる事務事業のうち、最大の懸案事項は「保健所業務」。しかし、保健所は既にあり、民生や保健衛生業務、屋外広告物法に関する業務が増える見込みだが、「大きな変化はそれほどないのではないか」(人事課)という。

 交付税などの財政的な優遇措置は、現行システムで試算すると15億円超とみられ、西尾助役は「苦しい財政状況の中、財源手当ては大きい」と期待する。

 手続きには合併後の市議会、道議会の議決が必要で、西尾助役は「まだ検討の段階。人口動態を注視しつつ、道や総務省との協議を進めていきたい」と話している。

 かつて30万人超の人口があった同市は1995年に、中核市指定を検討。この時も同年3月末時点の住民基本台帳人口が30万人を割り、自治省(当時)と協議の末、申請を断念。00年11月に「人口20万人以上」を要件とする特例市に指定された。

●中核市とは
 中核市 政令指定都市に次ぐ規模の都市。国や都道府県の権限の一部が移譲され、住民に身近な行政が執行される。指定要件は人口30万人以上、面積は100平方`以上。現在、全国で35市あり、道内では旭川市が指定されている。

提供 - 函館新聞社



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