富原さんが「函館の火災誌」出版
update 2004/2/17 14:42
函館市日吉町在住の富原章さん(83)がこのほど、「函館の火災誌」を自費出版した。1934(昭和9)年の大火発生から70年の節目に合わせて作り上げた本で、富原さんは「大火に屈することなく、街を築いてきた先人の不屈の苦労をしのんでほしい」と話している。
同年の大火災は函館の歴史に残る災禍で、富原さん自身も被災者の1人。同年3月24日、住吉町を火元に発生し約2万4000戸の家屋を消失した。富原さんは当時13歳で、この大火災を目の当たりにし、「逃げのびることはできたが、青柳町にあった自宅を失った。今でも鮮烈な記憶が残っている」と振り返る。
大火の事実や先人の苦労を風化させないという思いは強く、節目での刊行を目指していた。
2年ほど前から火災誌づくりに取り組み、ほぼ毎日、市立図書館に通い、新聞記事や「函館大火史」などで調べを進めてきた。
本書では、1778(安永7)年1月に弁天町で起きた9戸焼失火災を皮切りに、1965年までの主な火災を網羅している。発生時刻や被害状況などを引用した資料に沿い事実を淡々と記している。巻末では、100戸以上焼失した火災の被災状況を図録で表した。
函館生まれの富原さんは、60年ごろからライフワークとして郷土史の研究に取り組み、市の水道事業の歴史や函館の古地図をテーマ取り組んできた。90年には「函館水道創設事業史」を出版し、神山茂賞を受賞。
富原さんは「今回の出版で自分自身の研究テーマに一区切りがついた。今度は自分史を刊行してみたい」と話す。293ページ。3000円(税別)。
提供 - 函館新聞社
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