ラ・サールのハウレット教諭がアイヌの絵本を翻訳、出版

update 2004/2/4 09:42

 函館ラ・サール高校のピーター・ハウレット教諭(47)がこのほど、アイヌ民族の絵本「アイヌ ネノアン アイヌ」(福音館書店)を英訳した「The Ainu」を出版した。今月中旬には国内の書店に並ぶほか、3月以降は、米国やカナダなど英語圏でも発売される。ハウレット教諭は「本を通じてアイヌ文化を海外に紹介していければ」と話している。

 絵本は、元参議院議員で、日高管内平取町にある二風谷アイヌ資料館館長の萱野茂さん(77)が、1989年に出版。萱野さんの子ども時代の思い出や、当時のアイヌ民族の生活などが描かれている。

 ハウレット教諭は、96年に函館市内で開かれたアイヌ民族文化祭を見て感動し、アイヌ文化に興味を持った。一方で、生徒たちがアイヌ文化についてほとんど知らないことに驚いた。「自分の土地の文化を知らないのはおかしい。生徒に関心を持たせよう」と、図書館で見つけた絵本の英訳を決意。萱野さんに了解を取り、当時、同僚だったリチャード・マクナマラさん(45)と一緒に英訳し、97年度から授業の教材として取り入れた。

 また「海外でもアイヌについて興味を持っているところが少ない」ことから、広く知ってもらおうと海外出版も目指していた。

 当初は出版社が決まらず苦労したが、約2年前にシンガポールに本社のあるチャールズ・イー・タトル出版と出合い、今回、数千部を出版することで契約した。

 英訳本は米国、カナダのほか、英国、オーストラリア、ニュージーランド、さらに東南アジアなどの英語圏でも出版される。ハウレット教諭は「見てもらうのが一番」とアイヌ文化が世界に広がることを期待している。

提供 - 函館新聞社



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