陶芸家伊藤さんが第2のふるさと函館でカレー店開く

update 2004/2/2 10:48

 空知管内の由仁町で陶芸活動を続けている伊藤一生(かずお)さん(54)が、少年期を過ごした函館で新しくカレー店をオープンした。芸術家と料理人の二足のわらじで奮闘する伊藤さんは「函館は第2の古里。将来的にはここに窯を作り、生活と作陶の拠点にしたい」と意気込んでいる。

 1月1日に函館市本町に「カリー・バーGinGARO」を開店。23種類のスパイスを配合した本格的なスープタイプのカレーを提供している。店では自身が焼いた陶器を使用。「実際に自分の陶器を使うことで、いろんな面が見えてくる。次の創作活動に役立つし、テストする楽しみもある」と笑う。

 伊藤さんは福島県出身で、小学校3年から中学3年までを函館で過ごした。その後東京で写真スタジオなどに勤めたが「立体的なものの勉強をしよう」と京都で焼き物修業の道に。次第に作陶の世界に傾注していった。

 29歳のときに一度、函館に戻り、飲食店を経営。その後も札幌でお好み焼き店、カレー店などを手掛け、さらには道立工業試験場・窯業科の門をたたき、土のこね方から化学式などの基本技術をたたきこんだ。「感化されやすい性格だが、すべては陶芸のためにやっていたと思う」と振り返る。

 16年前に由仁町の馬追山で窯を開き、「タタラ」といわれる板皿などを中心に製作。陶芸教室の指導者などを経て、現在は年に数回、各地で作陶展を開いている。

 冬になると雪が高く積もり、窯に火を入れる暖房費がかさむほか、雪かきなどの労力も多い。「無駄が多い」と踏ん切りを付け、冬の間や展示会のない時期に、これまで培った腕を生かし、函館でカレー店を営むことにした。「84歳の母親が住んでいるし、地方回りをしていて、函館の良さがあらためて分かった」という。

 6月に東京での個展開催が控えているため、4月には由仁町へ足を運び、出展準備を整える。夏には函館に戻るが、秋には再び由仁町へという忙しさ。店は人を雇うなどして休業はしない予定だ。

 カレー作りと作陶の両立は、いろんな土地でさまざまな経験を積んだ伊藤さんが選んだ最後の道。「じっとしていると成長もしないし、視野も狭くなる。自分を高めるには挑戦し続けるしかない」と新たなスタートに目を輝かせている。

提供 - 函館新聞社



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