道南のおれおれ詐欺、悪質、巧妙化

update 2004/1/31 12:38

 高齢者を中心に電話でだまし、多額の現金を奪う「おれおれ詐欺」の被害が、道南でも後を絶たない。昨年4月から今年1月29日までの間、道警函館方面本部管内で既遂12件、約856万円の被害が出ている。最近では警察官をかたり交通事故の示談金を求めるなど、手口も悪質、巧妙化。3日には同方面本部で金融機関を交えての対策会議を初開催するほか、各警察署でも広報誌などを通じて注意を喚起、被害防止を呼びかけている。

 昨年1年間の「おれおれ詐欺」は、全国で既遂約4300件、被害額約43億円、全道でも既遂166件、被害額は約1億400万に上っている。

 同方面本部捜査課によると、管内では昨年4月ごろから被害が出ており、29日現在で既遂12件、未遂は24件。当初は孫や子供をかたり「借金の保証人になった」というのが一般的だったが、最近では巧妙化し、警察官や弁護士と称し、複数でうその交通事故の示談金を求める手口が増えている。被害者は50―70代の女性が中心。

 「経済の盲点を突いた犯行。電話を掛けた人間、金を引き下ろした人間、口座の名義人とバラバラ」(捜査関係者)。犯行で入金される金融機関の口座は第3者名義の転売されたもの、連絡を取る電話はプリペイド式携帯。金の引き下ろしも本州で行われており、警察の捜査も難しい。

 一説には「本人の住所や連絡先はもちろん、親や祖父母の情報まで分かっている。貸金の際、保証人の情報も得られる、090金融からくら替えしている可能性がある」という声も。現在のところは、金融機関の窓口で防ぐのが“最後のとりで”だ。

 相次ぐ被害を受け、同方面本部でも管内各金融機関に注意を喚起する文書を配るなどしているが、被害は一向に収まらない。3日の会議には、警察・金融機関から40人が出席し、窓口での確認の徹底やATM(現金自動預払機)付近へ注意喚起文を張るなどの対策を話し合い、被害防止に向けた連携を強化する。

 各警察署でも取り組みを強化。函館西署では被害防止のチラシを約4000枚作製し、30日から各町会などに配布している。手口の紹介や被害防止のポイントなど、イラスト付きで紹介しており「管内は高齢者が多く、みなさんに啓発したい」と同署。

 同方面本部でも「交通事故の際、確認の電話をするのは本人が重体となって身元確認などのためで、示談金を求めるといったことはない。金融機関との連携を強化し、水際対策を進めたい。まず、変な電話が来た際には、冷静になって家族や警察に相談してほしい」と話している。

提供 - 函館新聞社



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