函館地域産業振興財団が円建て外債1億円購入

update 2004/1/27 11:10

 道立工業技術センター(函館市桔梗町)を管理・運営する財団法人函館地域産業振興財団(高野洋蔵理事長)は、スウェーデン輸出信用銀行の債券1億円分を円建て(発行体は米ドル)で購入した。同財団の外国債券(外債)購入は初めて。基金約20億円での運用益確保が課題となっている同財団はこれで、新年度の債券平均利率が2・61%に上昇、約5270万円の運用益確保ができる見通しとなった。

 同財団によると、昨年、償還満期となった国債と政府保証債1億円を原資に買い換えた。10月に1ドル約116円で成約。1億円の元本は保証され、利息はドルで受け取る「仕組債」で、償還満期は30年。当初金利は4・25%で、初年度だけ為替の変動にかかわらず金利425万円が保証されているという。

 証券会社4社から推薦を受けた外債6銘柄から@格付けA金利B期限前の償還条件―などを勘案し、同外債に決めた。格付けは「AAプラス」で、金融庁長官が指定する条件もクリアした。

 2年目以降は為替変動に応じたドルでの利払いになる。同財団の清水豊総務部長は「購入時より円高が進んでいるが、1ドル106円でも実質約3%の利息がつく。金利ゼロは約80円の円高時に想定されるが、元本1億円は発行体が倒産しない限り保証される」と説明する。現在の国債は10年物の新発で1・3%前後。「現在の経済情勢では、国内債券だけで年間5000万円台の運用益確保はできない。国の指針に沿い、公益法人として安全、確実を大前提に、より有利な運用が見込める外債にした」という。

 また、利率の維持ができなくなるなどし、発行体が満期前に償還する「コール」は、最低5年間ない。「通常のノンコールは1年だが、すぐ償還されても困る。その点でも運用に有利」(清水部長)という。

 外債購入で同財団の新年度の債券運用利率は2・44%から2・61%に上がった。4930万円を見込んでいた運用益も5270万円となり、目標の5000万円台をクリアした。新年度は1億円、再来年度は10億円を超す国内債券の償還満期を迎えるが、同財団は経済動向を慎重に見極め、外債への買い替えも一定量は続ける方針だ。

 財団法人函館地域産業振興財団 新産業創出による地域経済活性化を目指し1984(昭和59)年4月、財団法人テクノポリス函館技術振興協会として発足。2001(平成13)年4月に現在の名称に変更。道や函館市と周辺3町、民間企業などが出捐(しゅつえん)した基金は20億1992万6000円。運用益で企業の債務保証や低利融資、研究開発助成などを行っている。基金に占める債券の割合は92%。運用益も含めた本年度当初予算は約5億100万円。昨年5月に開いた理事会で外債購入ができるよう、規程を変更した。

提供 - 函館新聞社



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