檜山南部4町 法定協は多難な船出か

update 2004/1/25 11:32

 【江差】檜山南部4町合併問題協議会(会長・濱谷一治江差町長)の法定協議会移行を認める4町議会の議決が23日、出そろった。地方交付税の大幅削減など、地方自治を取り巻く情勢から、単独存続の厳しさを実感する4町だが、正念場を前に合併の理念や方法論をめぐる温度差、意識の違いから生じた軋み(きしみ)が垣間見えている。

 14日、江差町で開かれた最後の任意協。法定協での議論の進め方を確認した。だが、合併町の行財政のマスタープランとなる市町村建設計画をめぐり、江差・乙部両町の主張が随所で衝突した。

 合併特例法で、地方交付税を合併後も10年間、旧町基準で据え置く「合併算定替」の期間中、4町の財政を可能なものから一体化したい江差町、10年間は旧町が自主的財政を保つべきとする乙部町の主張が真っ正面から対立した。

 背景には、合併をめぐる理念の食い違いが横たわる。

 乙部町は、北海道町村会(会長・海老澤順三上磯町長)が提言した、現町の枠組みで基本的行政サービスを一本化、行政のスリム化を図る「連合自治体」による、緩やかな合併を模索してきた。構想立案は寺島光一郎町長が道町村会副会長の立場で主導した。

 農水省出身で、霞ケ関にも太いパイプを持つ同町長。政府が検討中の合併新法に期待する。総務省トップとの接触で「緩やかな合併」が制度化されるとの感触を得た。

 一方、熊石町の離脱後、江差町は協議会事務局を抱えた。町幹部は「期間が短く、新法と両にらみの議論は困難。特例法の趣旨に沿った協議を急ぎたい」と、乙部町との隔たりに危機感を強める。

 任意協では事態を静観した厚沢部、上ノ国両町も、江差・乙部両町の亀裂の深まりを懸念する。

 総務省は、法定協での協議は最短で22カ月が必要とする。だが、4町は来年度末の特例法失効を控え、今秋には最終判断を迫られる。残り時間は10カ月を切る。江差町幹部は「任意協が積み残した課題は山ほどあるが、時間は半分。役場全体で事務局を支えなければ間に合わない」と焦る。

 残り少ない時間、意識の違い―。2月上旬に発足する法定協は多難な船出となる。だが、合併の主役であるべき4町民の熱い視線と関心が、法定協の実りある議論を支えるのではないか。

提供 - 函館新聞社



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