道立高学区拡大

update 2004/1/23 10:30

  道教委がこのほど発表した道立高校(全日制普通科)通学区域(学区)の改正に、さまざまな声が上がっている。受験生に、より多くの選択肢を与える今回の改正は、多くの学校関係者が「時代の流れ」と受け止める。半面、受験生がどのような動向を見せるか判断がつかず、それぞれの立場で不安も隠せない。実施まで1年余り。学区拡大に関係者は頭を悩ませることになりそうだ。

 今回の改正は、通学区域を現行の55学区から26学区に統合。函館市をはじめとする渡島も3学区から全学区になり、これまであった学区外就学が取り払われ、受験生にとっては学校の選択幅が拡大したことになる。

 今回の改正によって色々な変化や可能性が指摘される中、学校関係者の受け止め方もさまざまだ。木古内高校の山岡直子校長は「選択の広がりは時代の流れ。方向としてはいいと思う」と総論では賛成。ただ、選択肢が増えたことで「影響は受けるだろう」と受験生の町外流出を懸念する。

 一方では、普通科と商業科を併せ持った特色や高大連携など、これまで同校が取り組んできた教育内容の一層の充実を図ることで「都市部の生徒の受け皿としてではなく、主体的に選ばれる学校にしなければ」と話す。

 八雲高校の高久均校長は、学区制度の改正にかかわらず特色ある学校作りの重要性を強調。同校は、本年度から文部科学省の指定を受け「学力向上フロンティアハイスクール」として学力強化に努めている最中。「影響はどうなるかわからないが、しっかりと地に足をつけて先の道を定めていきたい」としている。

 函館中部高校の宮下勤校長は「平等主義というか、切磋琢磨(せっさたくま)する機運が盛り上がる。時代が求めていることだと思う」と歓迎している。

 改正によって指導が難しさを増した中学校。来年3月からの実施で、父母や生徒へ早急な対応を迫られそうだ。宇賀の浦中の内田弘治校長は「近いうちに父母らに情報を周知をしなければいけない」。受験機会が平等になり「今までは函館市内で収まっていた生徒が、逆に市外の高校に出て行く可能性もあるし、どうなるかは、今は分からない」と不安を口にする。

 森中学校の増田順一教頭は「受験機会が均等になるということで郡部の中学校にとって公平感は出てくると思う。しかし、それで生徒たちが函館市内の高校へ行くかは別問題」と話した。

 同校は、現在3年生140人のうち100人が、地元の森高校を志望。「通うにしても1時間はかかるし、下宿などしたら経済的負担が出てくる」として、大きな変化はないとの見方だ。

 湯川中の長谷川良任校長も「判断はつかないが、極端に流れが変わることはないのでは。数年待たないと傾向はつかめない」との見解だ。さらに「数年たてば、それぞれいい教育をしようとしても、人気校とそうでない高校の格差が広がり、それが固定概念となるのが恐ろしい」とも話す。

 函館は古くからの私学振興の地として評価を得ている。それだけに市立を含めて「特色のない公立学校は厳しい時代になる」(木古内高・山岡校長)という。今回の改正が中学、高校に与える影響は大きい。

提供 - 函館新聞社



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