サルか不況 初競り

update 2004/1/6 11:32

 函館市水産物地方卸売市場(豊川町27、宇野隆司場長)と市中央卸売市場(桔梗町589、山本能史場長)で5日朝、初競りが行われ、市民の台所が今年も売買の幕を開けた。長引く不況による購買力の減退、大型店による価格破壊や消費者の低価格志向などで、両市場を取り巻く環境は年々厳しさを増しているが、関係者は「今年はいい年にしたい」と景気回復への願いを込め、底冷えする場内で威勢のいい競り声を響かせた。

中央市場
 中央卸売市場では午前6時45分から、紅白の幕が張られた一角で初競り式が開かれた。市場関係者らが一堂に集合する中、開設者を代表して市の木村孝男助役が「新幹線や自治体合併など、大きな変化を抱えた一年だが、長年培ってきたことを生かして」とあいさつした。

 卸売業者代表として、東一函館青果の蓮田勇社長が「気持ちも新たに、安心、安全をモットーに皆さまの期待に応えていきたい」と述べ、函館青果物商業協同組合の宮崎裕之理事長の発声で手締めを行い、山本場長が競りの開始を宣言した。

 ダイコンやハクサイ、トマトなどの箱が山積みになる前で、競り人の「(トマトの)2Lはいくら」「売っちゃうから」などの威勢の良い声が響き、競り人と業者の掛け合いが続いた。

 この日の入荷量は野菜93トン、果実30トン。天候不順の影響を受け、果実が例年よりも少なかった。価格は、レタスが昨年平均の2倍となるなど、例年と同じ正月相場。市場関係者は「13日くらいから高値が少し収まる」とみている。(小泉まや)

水産市場
 水産物地方卸売市場は、午前7時から「初売り式」。市場関係者や金融機関、取引先の代表ら約300人が集まり、タイ、ブリなど「縁起物」の競りで1年の幕開けを迎えた。

 開設者を代表し、井上博司市長が「昨年は荷さばき上屋を新設し、衛生面に力を入れた。市としてできる限りの施策を推進し、市場活性化につなげたい」とあいさつ。卸売業者を代表してあいさつした函館魚市場の松山征史社長は、4月に寄港する南氷洋鯨類捕鯨調査船団について「ミンククジラ1800トンが水揚げされる。捕鯨文化の見直しが函館から全国に発信されるのでは」と期待を込めた。

 関係者9人による鏡開きや手締めに続き、取引の始まりを告げる鐘の音で初競りがスタート。縁起物のタイ、ブリ、メジマグロなどを仲買人が「10万両!」「8万両!」と威勢良く競り落とし、場内は拍手に包まれた。

 初日の入荷量は70万トン。同市場は「正月休みで生きのいい魚が出回ってなかったため、通常よりも若干値が上向いた」と話している。

提供 - 函館新聞社



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