ホタテの殻で人工藻場礁

update 2003/12/16 11:05

 【恵山】水産系廃棄物として処理されているホタテガイの殻を使った人工藻場礁で、海藻のガゴメを育てる研究が始まり、水産関係者の注目を集めている。この藻場礁は道経済産業局の創造技術研究開発事業で、七飯町の菅原海洋開発工業(菅原俊光社長)が開発。今回、都市エリア産学官連携促進事業の一環として、ガゴメが育つかなどを調べることになった。15日には、恵山町大澗漁港に同藻場礁8基が設置され、ガゴメの研究としても大きな一歩を踏み出した。

 同藻場礁は、ホタテガイの殻に特別な調合をしたモルタルをかけており、コンクリートミキサー車で運ぶことができるのが特徴。トラックを使うよりも輸送コストが安くなるという。

 直径3メートルほどのコンクリートの土台に、この特殊加工をした貝殻を盛って凹凸を生かした藻場礁とする。土台の形状は、1つ前の試作品では丸形だったが、12角形にし、型枠のコストを削減した。底面を特殊な形状にして、砂場でも岩場でも使えるように作っており、今回の研究で、砂場での移動の有無なども確認する。丸形では、既に砂原沖でマコンブなどが着くことが確認されている。

 今回設置されたのは、土台に脚が3本付いたタイプ4基と脚の付いていないタイプ4基。さらに、比較用として、コストが高いことなどから普及が進んでいないものの、コンブ類が着くことで知られる製品2基も沈めた。それぞれ、砂場と岩場に半分ずつ設置した。

 コンブ類は突起がある場所に着きやすい特徴を持っており、「ざくざくに盛られたホタテガイの殻は大きな敵性がある」と同社。同事業に携わる道立工業技術センターでも「すき間に微生物が入ることでメリットが生まれる可能性もある」と期待する。

 現在、人工的な藻場礁作りは、石を海中に積み込む方法が多く、石が数年で砂に埋まってしまうデメリットがある。今回の低コストで実効性の高い藻場礁が、高値で取引されるガゴメの育成に使えることになれば、船で遠くまで漁に出られない高齢漁業者らの安定収入の道が見えてくる。(後藤泰良)

提供 - 函館新聞社



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