検証・三和問題(上)/白樺の“裏切り”
update 2003/12/13 16:28
「新たな体制強化に努めた最中の出来事だった。面目なく、おわびしたい」―。11日、三和の原状回復を支援してきた食品会社「白樺」による廃棄物の不適正な埋め立てを受け、市の小野知博環境部長は肩を落とし、市議会民生常任委員会の場で陳謝した。行政代執行を避ける目的から、廃棄物処理業の許可を白樺に与えて、問題を収束させようとしていた市の思惑は、白樺の“裏切り”によってもろくも崩れ落ちた。
白樺に不適切な埋め立てを許したのは、市の検査体制に加え、同社への認識で「脇の甘さ」があったと言える。
市によると、今回埋め立ての舞台となった木くず破砕機のコンクリート土台は、9月上旬の定例市議会会期中に敷設作業が行われ、立ち入り検査体制が若干甘くなった時期だったという。市が最終的にコンクリート敷設の事実を把握したのは、9月中旬になってからだった。
市は、清算法人化で資金力を失った三和に代わり、資金を投じて原状回復作業を行ってきた白樺を、一貫して「善意の第三者」ととらえてきた。「原状回復は原因者によって行われるべきもの」という法の論理を貫き、作業によって出た産業廃棄物を一般廃棄物扱いとしたり、埋め立て手数料の支払いが滞った同社に後納を認めるなどの“恩典”を与えた。
最終的には白樺に処理業の許可を与え、税金を使うことなく、問題の解決に向かわせようとした。しかし、白樺の体質に気づいた時には「行政代執行」という、重い選択肢しか残されていなかった。
廃棄物処理法によると、行政代執行を行うには、前段で排出者責任を問はなくてはならず、そのためには〈1〉三和に持ち込んだ排出業者が不適正処理を知っていた〈2〉不当に安い価格で処理を委託した―といった条件が必要とされる。
さらに、排出者責任を問うための廃棄物管理票の写し(マニフェスト)は、三和の社長が行方不明のため、警察に証拠として押収されたままだ。マニフェストそのものも数万枚あるとされ、閲覧できた場合でも確認作業には相当の時間を要する。国から代執行の許可を得るための事務手続きにも3、4年かかるとされるなど、実現への課題は多い。
12日まで行った試掘調査の結果、白樺の埋め立ては深さ約4メートルにまで達していた。井上博司市長は三和事件の教訓として、「全庁を横断する体制や指導システムづくりが必要」との考えを示している。失った環境行政への信頼を取り戻すためにも、市にはこれまで以上の強固な体制づくりが、改めて求められている。
提供 - 函館新聞社
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